出版社内容情報
人間を「合成人間」に変化させる能力を持つ製造人間ウトセラ。彼と少年ヒノオが巻き込まれたとある事件から、すべてが始まった――
内容説明
人間を生物兵器・合成人間に造り変える力を持つ“製造人間”ウトセラ・ムビョウ。彼を説得してその能力を発動させようとした人々を、ウトセラは独自のロジックで翻弄していく―“無能人間”の少年コノハ・ヒノオに始まる双極人間/最強人間/交換人間との邂逅、そして奇妙な論理で導かれる結末とは…“ブギーポップ”シリーズの裏側を明かす、異能力者たちによる新対話集。書き下ろし「奇蹟人間は気が滅入る」を収録。
目次
製造人間は頭が固い“The Institutional Man”
無能人間は涙を見せない“The Incompetent Boy”
双極人間は同情を嫌う“The Injured Girls”
最強人間は機嫌が悪い“The Invincible Man”
交換人間は平静を欠く“The Interchangeable Man”
製造人間は主張しない“The Industrial Man”
奇蹟人間は気が滅入る The Incomparable Lady
著者等紹介
上遠野浩平[カドノコウヘイ]
1968年生まれ。法政大学卒。1998年、第4回電撃ゲーム小説大賞を受賞した『ブギーポップは笑わない』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
68
ブギーポップ番外編。ただしハヤカワが出すだけあって、内容はやや固め?屁理屈で塗り固めたような上遠野節に巻き込まれたら一気読み。あ、どちらかと云うと誉めてます。人類を(邪な)進化より守る組織≪統和機構≫、その尖兵たる合成人間を創り出す製造人間ウトセラを主人公に迎えての連作短編集。というかウトセラの偏屈さに付き合わされる物語。めんどくさい奴だなぁ。数々の作者のあとがきを人格化したような存在だから、読者を選ぶかも。僕は好きですが。双極人間の双子ちゃん、ニヤリとさせられました。2020/10/13
ゆかーん
56
この世界の歴史は全て偶然の産物で成り立っている…。そんな言葉を投げかけられているかなような小説でした。特殊能力を秘めた製造人間の存在は、果たして偶然の産物なのか?彼らの能力の使われ方次第で、この先の未来が勝手に決められてしまうのだとしたら、人間はもう何のために存在しているのでしょうか…。難解文章ぽく思えましたが、意外とライトノベルっぽくて読みやすく感じました。でも、何か物足りない…。一人一人のキャラは濃いのに、全体的に世界が薄っぺらく感じてしまいました。彼らの存在意義がもう少しわかれば面白かったかも…。2018/11/09
絹恵
36
彼は問う、人類について。彼は与えたりしない、何も持たないのだから。ただ言葉によって生きることについて示す。ウトセラという名前が内包するのはメトセラなのかもしれない。自身では物事を判断しないのは、人間の奔流に身を委ねるという選択をしたからだろう。その流れのなかで、言葉だけが彼に寄り添える。だからこそ彼は問う、私たちについて。(関連シリーズ未読でしたが言葉を扱う彼に惹かれて面白かったです。)2017/08/04
Yuki
30
ブギーポップの再アニメ化のニュースを見て。ああ、懐かしい上遠野節。90年代の一部の若人に影響を与えに与えた独特の世界観と文体。あとがきの最後にBGMを書く文化なんて今は死滅してるんじゃないだろうか。統和機構、カレイドスコープ、オキシジェン。記憶はおぼろげだけど懐かしく、いい大人になってしまったせいか心にしっかり刺さるとまではいかなくなったが、何とはなしにあの頃みたいにわくわくした。2018/03/17
ソラ
29
ブギーポップの番外編。本編も読んでるには読んでるけれどもしばらく読んでなくてあまり覚えてないながらも楽しめたかなと。久しぶりに本編も読みたくなったんだけど、あんまり書店に初刊からは置いてない気がするんだよなぁ。2017/07/13