出版社内容情報
異なる進み方の時間を生きる男女の切なさを描いた「時尼に関する覚え書」をはじめ、著者デビュー作である表題作を含む珠玉の8篇。
梶尾 真治[カジオ シンジ]
内容説明
出会うたび、時間を巻き戻すかのように美しく若返っていく不思議な女性・時尼。彼女を深く愛し始めたとき、その正体と儚き真実が明らかにされる―「時尼に関する覚え書」。並行世界で邂逅した想い人・江里の運命を、生命を賭けて変えようとする研究者の物語「江里の“時”の時」。そして、異なる時の流れに分かたれた男女の哀惜を綴った著者の伝説的なデビュー作「美亜へ贈る真珠」など、時間と恋愛がテーマの傑作八篇。
著者等紹介
梶尾真治[カジオシンジ]
1947年熊本県生まれ。1971年、SFマガジンに「美亜へ贈る真珠」が掲載され、作家デビュー。1991年『サラマンダー殲滅』で第12回日本SF大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
74
感傷的である。感傷が零れ落ちるほど、過多だはおもう。映像を想像しながら読みました。それにしても、少し前に見た小松菜奈主演の映画の原作がこれだとしてもうたがわないですー。2020/12/24
おかむー
71
SF界の重鎮、梶尾真治の描く時間と恋愛を軸としたSF短編集。『よくできました』。女性の名前をタイトルに含む8つの短編は、せつなさもありほろ苦さもあり、ときにブラックでとてもSF作家「らしい」感触。SF漫画家の星野之宣でビジュアルをイメージして読み始めたが、読み進めるとなんとなく藤子・F・不二雄のイメージのほうがしっくりときた。それぞれ男性主人公視点の一人称をという形で描かれるが、どのヒロインもステレオタイプな男の望む理想の女性なあたりが読み手によってはひっかかるところかな。2019/02/16
スカラベ
61
切ない時間SF恋愛ストーリーの第一人者、梶尾真治が綴る8篇の短編集新版。クローンやウラシマ効果、人類の終焉を題材にしたものもあるが、帯にあるように、『時尼に関する覚え書』は「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」、その他の短編も「君の名は。」に通ずるところもあり確かに原点とも思える。何となく煽り文句に乗せられてしまった感はあるが、楽しめたので良しとしたい。ちょっと無理はあるものの、こちらの方が背景が考えぬかれている印象。しかし、互いに異なる時間の中に生きる恋人同士という設定の行き着く先は儚くて切ない。2017/01/21
かんらんしゃ🎡
50
♪女のつけぬコロンを買ってー。歌なら恋の歌も失恋の歌も聞く。限られた字数の中でエピソードを丸めるからあるあるとして共感する。対して恋愛小説や映画がつまらないのは個人の事情を掘り下げすぎるからだ。それはもう他人事。覗き見でしかない。詳しく描くほどつまらなくなるジレンマが小説にはある。だけどそれが時空に阻まれる話になると、宇宙的で神秘的で途端に哲学っぽくなって面白い。この本に7編。 2023/04/25
harupon
39
時間と恋愛がテーマの短編8作。『時尼に関する覚え書』保仁が初めて時尼にあったのは3歳の時。その時の彼女の肉体年齢は51歳。遡時人(そときびと)…未来のある時点で誕生し、過去に遡って成長していく。時尼の息子「仁」と保仁の関係性がすごい。この作品が映画になっていたら 凄い世界観が表現されたであろう。とても引き込まれるストーリーでした。他の7編も面白かったです。2021/09/03
-
- 和書
- 奇奇怪怪明解事典