出版社内容情報
人々が少しだけ違う並行世界間で日常的に揺れ動いていることが実証された世界――
両親の離婚を経て父親と暮らす日高暦(ひだか・こよみ)は、父の勤務する虚質科学研究所で佐藤栞(さとう・しおり)という少女に出会う。
たがいにほのかな恋心を抱くふたりだったが、親同士の再婚話がすべてを一変させた。
もう結ばれないと思い込んだ暦と栞は、兄妹にならない世界に跳ぼうとするが……
彼女がいない世界に意味はなかった。『僕が愛したすべての君へ』と同時刊行
内容説明
人々が少しだけ違う並行世界間で日常的に揺れ動いていることが実証された世界―両親の離婚を経て父親と暮らす日高暦は、父の勤務する虚質科学研究所で佐藤栞という少女に出会う。たがいにほのかな恋心をを抱くふたりだったが、親同士の再婚話がすべてを一変させた。もう結ばれないと思い込んだ暦と栞は、兄妹にならない世界へ跳ぼうとするが…彼女がいない世界に意味はなかった。
著者等紹介
乙野四方字[オトノヨモジ]
1981年大分県生まれ。2012年、第18回電撃小説大賞選考委員奨励賞を受賞した『ミニッツ―一分間の絶対時間』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハッシー
228
【2冊同時並行読み】▶幸福な「僕」と不幸な「僕」が生きた並行世界の物語。不幸な僕は幸福な君の分まで不幸を背負う。どんなに不幸であっても幸福になることをあきらめてはならない。一人の女性を救うため、僕の一生を捧げる。これは始まり、あるいは終わりの物語。2016/10/05
オセロ
127
平行世界の存在を人知れず知ってしまった高崎暦と佐藤栞。密かに結婚の約束を交わした2人だったが、親が再婚すると聞き、結婚出来ないと思ったことで2人は結婚出来る可能性を込めて平行世界へと逃げるが、そこで栞が交通事故に合ってしまい…。 愛する人を救う為に全てを投げ出して研究に没頭する暦の姿は痛ましかったですけど、平行世界では結婚相手の和音に支えられて、行き詰まっても可能性を模索し続けて、『君を愛したひとりの僕へ』に繋がるラストにはグッとくるものがありました。2022/09/04
dr2006
101
「僕が愛した」と同時刊行、話の骨格が並行世界を肯定しているだけに2作は並行して読むに尽きる。ライトな読み口も量子学に基づいた世界観が理論整然としているが、抜けられない並行世界に行き詰まった事を、事象の地平線になぞるなんて吃驚だ(笑)現世界では結ばれないと嘆いた歴と栞の二人は、結婚が出来る世界を望み離れた並行世界へ移動を試みる。だが栞が移動した並行世界で栞だけが交通事故に遭い、意識と肉体が分裂してしまう。並行世界を彷徨う栞を取り戻そうと奔走する歴を助けたのは、僕愛の瀧川和音だった。2作セットでシナジー秀作!2018/10/28
芳樹
86
物質とその対になる『虚質』で世界を定義して並行世界を解釈する、という理論展開がとても刺さりました。互いに憎からず思い合う日高暦と佐藤栞は、お互いの両親が再婚することで兄妹となり、結婚できないと思い込む。兄妹にならない並行世界に飛ぼうとする二人だけど悲劇が待っていて…。生涯にわたって栞を幸せにする方法を探索し続ける暦が、辿り着いた手法に狂気さえ感じてしまいます。でも、彼の執念と愛情の深さはイコールなのだと思うと、切なさがこみ上げてきました。さて、暦は本懐を遂げることができたのか…。2022/08/20
ユザキ部長
78
今度はズレは時間の違い。平行世界で同時進行する時間を追うのではなく、そもそも過去にもどり無かったことに出来ないか?それでもどの世界にも君は確かに居た。2019/10/22