出版社内容情報
若き日の征陸智己が遭遇した事件をきっかけにシビュラシステムの根幹に迫る新シリーズ
内容説明
西暦2080年、警視庁の新人刑事・征陸智己は、八尋和爾が率いる特命捜査対策室に配属される。そこは数多の未解決事件を追及する部署だったが、背景には、包括的生涯福祉支援システム“シビュラシステム”により世界の覇権を握ろうとする厚生省に対する、警察庁の最後の抵抗があった。激しく変動していく社会体制に翻弄されながらも、正義の在り処を追い求めていく征陸であったが―スピンオフノベライズ新シリーズ第1弾。
著者等紹介
吉上亮[ヨシガミリョウ]
1989年埼玉県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒。2013年、『パンツァークラウンフェイセズ』で作家デビュー(全3巻/ハヤカワ文庫JA)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
48
一期、二期、劇場版を思い起こさせるような言葉や事件、人物が多すぎて色々、辛かったです。似たような歴史は繰り返していく。ならば過去を顧みず、現在しか見なくなった社会では似たようなことが何度も繰り返していくのではないかと暗澹とした気分になります。征陸さんとギノさんのお母さんの馴れ初めや征陸・宜野座家のギノさんの溺愛ぶりが微笑ましい分、彼らに待ち受けるものを思うと遣る瀬無くなってきます。それにしても黒のdominater(支配者)の前身が白のslaughter(虐殺者)というのが嫌すぎます。酷く、悪辣な皮肉だ。2015/03/06
里愛乍
45
吉上さんのPSYCHO-PASSスピンオフ。相変わらずの本格派。若かりし頃の征陸さんが主人公、かなりの好青年です。近未来刑事ものとはいえ、人々の心情が事細かく描かれてるゆえかなりのアナログ感を感じました。「様々な角度から自らの存在理由を問われ、それぞれの物語を歩み、そして何らかの理解(こたえ)を得る——。」 読み手としてもこのPSYCHO-PASSの世界観はかなり興味深く〝理解〟をより深めたいと思っています。このシリーズは最後までしっかり読み続けたいところです。2015/03/15
絹恵
43
予言された未来の記録でした。"社会が人の未来を選ぶんじゃない。人が社会の未来を選ぶ。"葛藤は言葉を話す銃に駆逐され、選択なき幸福に向かいます。人の意志は奪われ、そのなかで父は妥協を覚え、それからそれが生き残るすべだと悲しい理解を子に預けるけれど本当は、意志を摑む強さを、自身の諦めた全てを、託したかったのだと思います。2015/03/18
ちぃ
37
とっつぁん若い…(/_;) たとえば、父が戦場で人を殺めていたとして、戦後生まれの子どもがその親を、その罪を蔑むことなどできるだろうか?ギノさんと征陸パパがわかりあえなかったのは、社会がその戦争を隠してしまって、また両親の愛に徹底的に護られていたからでしょう。さえさん素敵だなー。2017/07/15
よっち
37
シビュラシステムで厚生省が主導権を握りつつある中、警察庁の特命捜査対策室に配属された新人刑事征陸智己を主人公とするスピンオフ。若かりし頃の征陸を描く本作は、シビュラシステムが本格稼働する直前の時代ということで、そんな時代だからこそあった暗部の描写はキツイものがありましたが、警視庁解体と公安局設立、ドミネーターのプロトタイプの運用開始とこの時代背景が描かれていて、描かれた征陸と本編の言動とか、後で宜野座が紹介するセーフハウスのこととかを考えると、うまく言葉にできない深いものがありますね。続きも気になります。2015/04/05