出版社内容情報
2002年夏、10年前の思い出を元に小説を上梓した作家の美雪は、記憶と現実のくい違いに気づく。1992年秋、絶対に外れない予知夢で最悪の未来を見た霞は……時の4部作、始動。
内容説明
過去は変わらないはずだった―1992年夏、未来から来たという保彦と出会った中学2年の美雪は、旧校舎崩壊事故から彼を救うため10年後へ跳んだ。2002年夏、作家となった美雪はその経験を元に小説を上梓する。彼と過ごした夏、時を超える薬、突然の別れ…しかしタイムリープ当日になっても10年前の自分は現れない。不審に思い調べるなかで、美雪は記憶と現実の違いに気づき…SF史上最悪のパラドックスを描く第1作。
著者等紹介
法条遥[ホウジョウハルカ]
1982年静岡県生まれ。2010年、第17回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作『バイロケーション』(『同時両所存在に見るゾンビ的哲学考』改題)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
文庫フリーク@灯れ松明の火
150
「・・あれは1992年の夏だった。当時N中学の2年4組に在籍していた私は」小説の僅かに残った一行を手がかりに、2311年の未来から1992年のN中学へタイムリープして来た転校生・園田保彦。その小説は未来から来た保彦と、一人の少女の体験を基に創られた物語だったが・・。タイムリープに使われる錠剤の強いラベンダーの香りは、筒井康隆氏『時をかける少女』へのオマージュ。同じタイムトラベラーを描きながら、こちらはなんともややこしいタイムパラドックス絡みのボーイ・ミーツ・ガール。一読で理解できず、誰について書かれて→2014/02/20
まりも
149
300年後の未来で見つけた本を探しに未来からタイムリープでやってきた保彦と出会い恋をした美雪。10年後、過去の自分が保彦を救う為に自分の元を訪れる筈なのに来ないのは何故なのか。リライトされた歴史を探る話。文章は読みやすいが物語が進むにつれてズレが大きくなっていく展開、分かり難い構成なので理解しきれなかった。最後まで違和感は残るこの読後感の悪さは歪んだこの作品に合ってますね。たった一人の復讐劇が、膨大な時間を使った辻褄合わせを台無しにする様子は正に史上最悪と言った感じでした。続編がどうなるのか次巻も期待。2015/02/04
た〜
122
とりあえずラベンダーで作中作が「時を翔る少女」はやり過ぎでは? 途中???な展開は、ラストのネタバレ章にて納得。2014/08/10
ゆんこ姐さん@文豪かぶれなう
107
リアクトを読む前にリビジョンを読もうとしたら、リライトの内容に触れているということでサラッと再読。最悪のパラドックス。10年前、時を越えて現在の携帯電話を取りに来るはずの私が、現れなかった。そして変わっていく過去。あるはずのない物語。前半はどうなるのかなと大人しく読んでいられるものの、後半そして佳境に差し掛かるともう止まらない。最後に待つのは最悪の結末。ここまで後味の悪い、なのにめちゃくちゃ面白い小説もなかなか出逢えない。リビジョンも気になるが、発売が延期になっているリアクトもすごく楽しみである。2014/04/17
おかむー
99
章ごとにヒロインがころころと入れ替わっていく仕掛けにある程度の予想はしていたものの、最後の種明かしで「うは!ここまでかよ」と驚かされた。『よくできました』。すべての歪みがひとりの執念によってひきおこされていることが明かされたラストはそこはかとなくホラーでもありますな。しかし同時刊行の『リビジョン』も読んでみると、肝心の保彦は本当に未来人なのだろうかと僅かな疑問も残る。非常時に出鱈目に押した携帯が繋がるって…何か仕掛けがあるような…。あと二作続くようなので最後にナニが待っているか期待。2013/08/15