内容説明
頭上に地面、足下に星空が広がる世界。人々は僅かな資源を分け合い村に暮らしていた。村に住めない者たちは「空賊」となり村々から資源を掠め取るか、空賊の取りこぼしを目当てに彷徨う「落穂拾い」になるしかない。世界の果てにもっと人間の暮らしやすい別天地があると確信した、落穂拾い四人組のリーダー・カムロギは、多くの敵と生き残りを賭けた戦いを繰り返し、楽園をめざす旅を続ける―。傑作短篇の長篇化完全版。
著者等紹介
小林泰三[コバヤシヤスミ]
1962年京都府生まれ。大阪大学基礎工学部卒。同大学院基礎工学研究科修了。1995年、「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞して作家デビュー。以降『人獣細工』『肉食屋敷』などの作品集で、緻密な論理とグロテスクなイメージを特徴とするSF・ホラー短篇の名手としての評価を確立した。2001年発表の『AΩ』、2002年発表の短篇集『海を見る人』(ハヤカワ文庫JA)で、日本SF大賞に連続ノミネート(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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GaGa
37
短編小説を長編化した作品。私は短編は読んだことはないのだが、ワンアイディアとしてはありだと思うし、発想自体は楽しめるものだと思う。でも、これ、ただ単に引き伸ばしただけじゃないか?作者はあとがきで、そうではなく、語られなかった部分を提示したというが、そういう見方をしても、短編読んでいない立場のものを面白がらせる要素に欠けている。2013/05/03
神太郎
36
『海を見る人』に収録されていた作品を長編化。短編の時はこの世界には何か秘密があるという匂わせ感があったが、そこからまさかこんな巨大ロボットものになるなんて思わないじゃないですかぁ〜笑。流石、小林泰三さん。個人的にはゲッターにクトゥルフを混ぜたイメージで読んでました。あれも人取り込んだりするし、火星で眠りについちゃうし。最後のオチはどっちなのかわかりませんが地国サイドからすれば『でたなアマツミカボシ!』みたいな石川賢先生ばりのノリなのではと勝手に想像してます(笑)。続編の構想もあったそうですが…。2024/07/28
miroku
20
無茶な設定だけどね・・・。面白いからいいや♪2012/12/10
烟々羅
17
短編版、および関連作品の設定に冒険を加え、詰んだ状態から未来を掴もうというはなし。未完である。 たとえばこのテーマを若き日の山田正紀氏が描いたら、どのように料理しただろうか。逆にあの当時の山田正紀氏の、ふっきれて爽快な冒険譚になる代わりに二極対立のマンネリズムになることを避けたからこそ、このようなリズムの作品になったのかなどと考える。 エンターテイメントになり切れなかった憾みはあるが、エンターテイメントに徹しても読者が分散してしまういまの市場においては、小林氏らしさを追求するのもまたひとつの商業戦略だろう2016/03/20
ヒロユキ
17
戦争や自然破壊をやめられない社会への皮肉…と受け止めればいいのか。…だけど…「ちょっとー!ここからでしょうよー!」が読後の第一声…あとがきの『物語の語られていない他の部分に関してもいつか執筆する機会があればと思うのである。』…って『…思うのである。』じゃなくて、その機会をなんとしてでも作ってください!お願いします!ヤスミン先生!2013/09/28