内容説明
西暦1627年、ドイツ。魔女狩りの足音が忍び寄るレンスの町で、10歳の少女マリーは“アンチ・キリスト”に出会う。西暦2022年、シンガポール。大人になれない3Dアーティストの青年ディッキーの前に、絶滅したはずの“17歳の少女”というクリーチャーが現れる。そして、西暦2007年4月の日本。火山灰が舞い散り、桜が咲き狂う鹿児島で、あたしは―ひとりの少女と世界とのつながりを描く初期傑作、解説を加え新装版で登場。
著者等紹介
桜庭一樹[サクラバカズキ]
1999年「夜空に、満天の星」(『ロンリネス・ガーディアンAD2015隔離都市』と改題して刊行)で、第1回ファミ通えんため大賞に佳作入選しデビュー。2003年開始の“GOSICK”シリーズで、多くの読者を獲得。2007年に『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞、2008年に『私の男』で第138回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫陽花と雨
33
私は…世界と繋がっている…?1967年ドイツ、祖母と2人で隠れるように暮らす少女マリー。彼女の喪失した記憶と守られた過去…祖母も魔女の疑いをかけられ途方にくれたそこへ空から落ちてくる、セーラー服の女子高生。ええ!あ、これSFだった!そこで気がつきました(遅い)いいところで強化老人の追手が来てまた別の世界へ、次は2022年のシンガポール。女性が強くなり絶滅危惧種の少女に変わって青年がクリエイターアイコンに。世界観が凄すぎて…。色々な読み方できそう。もう少し続きを読みたい感じ。続編かスピンオフ希望します!2019/02/05
いりあ
30
2005年に出版された桜庭一樹の作品です。中世ヨーロッパ、近未来のアジア、そして現在の日本、3つの時代の話が一つの作品を形作っています。ファンタジー、SF、そして少女小説、それぞれの話は単独でとても面白いです。桜庭一樹作品が好きなら、この3つの中に好きな部分を見つけるのは簡単です。しかし、これらを一つの話とするときに無理矢理リンクさせてしまったのか、残念ながら3つとも中途半端な感じが否めません。一応、話の流れは理解できますが。もっと分量を多くするか、それぞれを独立した話として読んでみたいですね。2014/03/09
紅香@新刊購入まで積読消化あと2冊⭐︎
22
魔女狩りも、これからのクリーチャーも、恐竜も、女子高校生もすべてこの地球であった出来事。生活があって、悩みがあって、生があって死があって。躍動している一本の血管のように、、そうだ私達は血脈で繋がっているんだと実感した。世界で、時空を超えて発生するシンクロニシティ。絶滅危惧種である『少女』の定義や幼児化している社会についての持論も興味深い。最後の章である1人の長い旅が終わる予感。青い空の色とともにどすんと衝撃波が胸に走る。2021/11/06
佐島楓
18
不思議な本を読んだなあという読後感。少年性、少女性に対する痛烈な皮肉としても読める。中世ヨーロッパを吹き渡る枯れ草混じりの風のにおいをかいだ気がした。不吉感を演出するのが相変わらず凄く上手い。2012/01/14
sk4
13
一つ目のストーリーの物々しい入り方に対して、二つ目のストーリーで急速に回収した感じ。せめてこの倍ぐらいのボリュームの舞台で、一つ目のストーリーで別れた少女との邂逅なる再会を果たして欲しかった。それだけ、最初の少女は特別な感じがしたから。2012/03/25