内容説明
西方の辺境の村にて「アトランティス王国滅亡の原因はこの世の外にある」と知らされた哲学者プラトンは、いまだ一度も感じたことのなかった不思議な緊張と不安を覚えた…プラトン、悉達多、ナザレのイエス、そして阿修羅王は、世界が創世から滅亡へと向かう、万物の流転と悠久の時の流れの中でいかなる役割を果たしたのか?―壮大な時空間を舞台に、この宇宙を統べる「神」を追い求めた日本SFの金字塔。
著者等紹介
光瀬龍[ミツセリュウ]
1928年東京生まれ。東京教育大学理学部卒業後、文学部哲学科に学ぶ。1962年“S‐Fマガジン”に発表した「晴の海1979年」で本格的作家デビュー。幅広い分野に健筆を揮った。1999年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鱒子
71
図書館本 KindleでKADOKAWA版を買いましたが、結果から言うと大失敗でした。こっちのハヤカワ文庫版に載っている巻末の加筆部分が、KADOKAWAには載っていない!ハヤカワを買うべきでした。あーあ…… ハヤカワは、萩尾望都さんの表紙だし、光瀬龍さんのあとがきがあるし、押井守監督の解説が載っているし!本当に大失敗でした。あーあ……2021/12/08
おたま
65
プラトンが、シッタータ(=仏陀)が、イエスが、さらに阿修羅王が登場し様々な関係性を生み出しながら進められる。途中から、彼等はサイボーグとなり宇宙空間にも進出し、果てはこの宇宙の外にあって、この宇宙を生み、進化させ、滅亡させる存在まで登場する。はっきり言って、もう完全に私の理解を超越している。光瀬龍が自分の哲学、宗教観、生命観、宇宙論等を投入して、究極の存在と無常感を描き出している(ようだ)。これ、一度読んだだけで分かる人はいるんだろうか? 萩尾望都によるコミック版の方も読んでみないと手が出ない、私。2022/07/04
HANA
65
プラトン、悉達多、ナザレのイエス、あしゅらおう、滅びの因を埋めて回る者。一読して感じるのは兎に角スケールの大きさ。ストーリーは錯綜して全体像を掴みにくいが、ただその壮大さだけに身を任しているのが存分に心地よい。ここで書かれている中心となっているのは、筋ではなく滅びの美学なのだろう。そういう意味では小説というよりは叙事詩だな、これ。「神」や「宇宙」を違う概念から説いてみたこういう作品、こういう破綻しているが破天荒な力を持った作品、最近の上手にまとまった小説にはない熱気みたいなのを感じるのは自分だけだろうか。2015/06/22
北風
39
スケールでかいなあ…。面白いけど読んでて疲れます。途中世界がつながってからは、やりたい放題といった印象です。なんでもありなだけに、ストーリーの展開が読めない。たまにはこういう本もいいんじゃないでしょうか。面白かったしね。2016/01/20
ダミアン4号
36
もう何回読み返しただろう。最初に読んだのは中学生の頃…かれこれ半世紀近い昔。寄せてはかえし、寄せてはかえし…繰り返す幾千億の昼と夜…原始の海、カンブリア大爆発、恐竜が闊歩し、やがて哺乳類が出現、そして人類が…人知では及びもつかない長い時間…遥かな昔、遠い未来…我々はどこから来てどこへ向かって行くのか。阿修羅王、ブッダ、プラトン、イエス。瞑目し救済方を考える弥勒菩薩半跏像…少年の様な阿修羅王像は問いかける「何故?」と…広大な宇宙空間から実験装置の中へ…仕掛けられた“滅びの芽”は今、目の前にあるのかも知れない2024/10/30