内容説明
平成元年東京。編集者の萩原祐介はビルの屋上から投身、しばらく空中を浮遊してから墜落死した。昭和13年満州。建国神廟の奉納オペラ『魔笛』を撮影すべく「宿命城」へ向かう善知鳥良一らの一団は、行く先々で“探偵小説”もどきの奇怪な殺人事件に遭遇する。そして祐介の妻・桐子は亡き夫を求めて、50年の歳月を隔てた時空を行き来することに…“検閲図書館”黙忌一郎が快刀乱麻を断つ第55回日本推理作家協会賞受賞作。第2回本格ミステリ大賞受賞。
著者等紹介
山田正紀[ヤマダマサキ]
1950年生まれ。明治大学政経学部経済学科卒。74年、SFマガジン誌上に『神狩り』を発表して作家デビュー、同年の星雲賞を受賞する。以後、『弥勒戦争』『宝石泥棒』(星雲賞受賞)といったSF作品をはじめ、冒険小説やミステリなど、幅の広い作品を精力的に発表し続けている。82年『最後の敵』で第3回日本SF大賞を受賞。『ミステリ・オペラ―宿命城殺人事件』で、第55回日本推理作家協会賞受賞。第2回本格ミステリ大賞受賞
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感想・レビュー
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みなみ
25
昭和13年の満州と平成元年の東京を舞台とした二つの世界が並行世界として混ざり合うような世界観の中で起こる殺人事件。残された暗号、自殺した者が浮遊している姿を見たと訴える目撃者、貨車の瞬間消失…本格ミステリの道具がてんこ盛りで登場してわくわくする。小説の文体は若干読みにくく、幻想小説のようでもあるけれども、現代パートの分かりやすさと大事なところは復習のように何度も繰り返される親切設計に助けられつつ読了。2023/04/01
モルワイデ鮒
15
宿命城でオペラ『魔笛』消失消失空中浮遊。平行世界とてんこ盛り。二種の手記やら小説がかわりばんこでややややこしい。派手な謎がどうなるか期待と不安。そろそろ年の瀬って時期にどえらいのに手ぇ出しちゃってたまらん。2023/12/11
yucchi
15
昭和13年の満州での事件と平成元年の東京での話が今後どうやって繋がっていくのか? それにしても旧仮名遣いで書かれた手記が読みにくい(*_*) 今この時点で、私がこの本の内容をどれくらい理解しているのかわからないという大きな謎を抱えて下巻に突入。2014/05/29
agtk
10
まだ上巻なのに、読み終わるのに結構時間がかかった。はじめはなかなか世界に入っていくのに時間がかかったが、時空間を超えた物語に引き込まれてきた。下巻でこの大風呂敷がどう畳まれるのかに興味津々。インターバルを挟んで下巻にいこう。2019/06/22
トリプルアクセル
10
プロローグの読みづらさには閉口したが、徐々に読み慣れるにつれ、圧倒的な物語世界へと引き込まれていく。同じ描写や説明があるためページ数が多くなっているが、そのおかげでなんとかついて行くことができた。満州やオペラ「魔笛」に纏わる話も面白い。様々な謎と伏線が、下巻で果たして回収されるのか少し心配ではある。2017/04/14