内容説明
なぜ、私なの?―賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった…弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動。
著者等紹介
冲方丁[ウブカタトウ]
1977年岐阜県生まれ。早稲田大学中退。在学中の1996年に『黒い季節』がスニーカー大賞金賞を受賞してデビュー
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感想・レビュー
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とら
102
日本SF大賞受賞作。『天地明察』『光圀伝』等の時代小説が有名になった冲方丁さん原作。自分はこの本で冲方さん知ったので、逆に時代小説も書けるの!?と驚いたもので。全三巻のSF長編。サイバーパンクを意識したらしいが、「攻殻機動隊」の様なものだろうか?大好きな作品だけどあれは漫画・アニメで展開されていた。小説の媒体でこんな本格的なのは初めてだったので新鮮だった。マルドゥック・スクランブル-09で得た特殊能力、登場キャラクター、言葉選び、何もかも魅力的でセンスに溢れてる。まだあと二巻も残ってるなんて幸せだ。2013/02/21
PSV
57
SF描写も凄いんだけど、バロットの生い立ちというか立ち位置というか、処遇が酷すぎて絶望した。でも、ウフコックがいてくれて、ドクターがいてくれて、何とか前を向いて歩ける…って時に、真の絶望ボイルド登場って、どんだけ冲方は酷いんだよ、と思う。設定のわかりにくさは若干あるけど、そんなの気にならないくらいの筆致とスピード感が素敵。 ★★★★★2012/07/04
UK
30
殺されかけた美少女娼婦が肉体改造を経て超人的能力を身に付ける。いささかグロい描写が多いが、うまく映画化したらウケそうな感じ。割合暗めの背景設定だけど、マンガ風にさらさら語られるので気軽に楽しんでしまう。こんな終わり方したら絶対続き読むよね。うん。2017/04/27
いおむ
21
再読!これが初冲方でした。当時読みたいものがここにあった感じ。今読んでも十分面白く、ラストのボイルドとの初対決シーンは、初読みの時より各登場人物たちの心情が理解出来てとてもよかった。2022/06/26
雪守
21
読み終わった後、一番強く感じたのが「かっこいい」でした。あまりに面白くて、一気に読んでしまったので改めて読み返してます。まず登場人物達の豊かさがすごい。ウフコックとバロット、ドクターの三人の会話が楽しかったです。反対に肉の名前のついた敵たちは正直、かなり気持悪かったです。バロットの艶やかな舞のような戦い方が印象的でした。さて次巻。2010/09/13