内容説明
突如、地球への侵攻を開始した未知の異星体ジャム。これに対峙すべく人類は実戦組織FAFをフェアリイ星に派遣、特殊戦第五飛行戦隊に所属する深井零もまた、戦術戦闘電子偵察機・雪風とともに熾烈な戦闘の日々を送っていた。だが、作戦行動中に被弾した雪風は、零を機外へと射出、自己のデータを最新鋭機へと転送する―もはや人間は必要ないと判断したかのように。人間と機械の相克を極限まで追求したシリーズ第2作。
著者等紹介
神林長平[カンバヤシチョウヘイ]
1953年新潟県生まれ。1979年、第5回ハヤカワ・SFコンテスト佳作入選作「狐と踊れ」で作家デビュー。第1長篇『あなたの魂に安らぎあれ』以来、独自の世界観をもとに「言葉」「機械」などのテーマを重層的に絡みあわせた作品を多数発表、SFファンの圧倒的な支持を受けている。『グッドラック』でも星雲賞を受賞。1995年、『言壷』で第16回日本SF大賞を受賞した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
86
初読。2015年1222冊め。シリーズ1作めを読んだのはほぼ1年前。すぐにこの続編を読まなかったことを後悔。地球侵攻を図る未知の異星体ジャムと人類の作ったコンピュータの戦い、その中での人類の存在意義。有機系コンピュータのようだった零が人間らしくなっていく中で、人間が必要なのか不要なのかという議論から目が離せない。すぐ3作めを読もう。2015/12/19
miri
78
前作を数年前に読み、本作は二作目。意思を持ったように振る舞う戦闘機から放り出された後、昏睡状態から目覚めた深井零が、自己と機械との関係に思い巡らす。雪風と名付けられた戦闘機に意思と呼ばれるものがあるのか、根本的に異なる生命体との間に共通するものを見つけ、コミュニケーションを取ることができるのかが考察される。戦闘機や戦時下の緊迫した状況、感情を殺したような文体の中に、信頼や愛という言葉が浮き出て見える。機械のような人間と人間のような機械、どちらがより人間的なのか、考えれば面白くもある問いである。2020/04/08
榊原 香織
73
シリーズ2作目。 昔このアニメを見ていたという人が、原作ラノベでしょ、と。どんな作り方をしたんじゃい。 重ーくて地味なSFです。 存在とは、と哲学みたいな話が延々続く。敵のジャムもなんだかはっきりしない。 戦闘場面だけくっつけたのかなあアニメ?2022/05/26
おたま
52
『戦闘妖精・雪風<改>』に続くシリーズ2作目。前作が、未知の異星体ジャムとそれに対するFAF(フェアリー空軍)、戦闘知性体である雪風を含む特殊戦等の背景を描いていくことが中心だった。今回はそこから踏み込んで、どのようにして異星体ジャムと戦っていくのかが、深化されつつ描き出されていく。しかし、まったく未知の、あるいは不可知の異星体と戦うと言うのはまず相手を「知る」ことから始まる。そこで、ジャムの情報を収集する特殊戦の役割が重要になるのだが、それはどこか「哲学的な」戦いになっていく。何かこれまでにないSFだ。2021/04/30
詩 音像(utaotozo)
52
始めに戦闘機ありきで、作者が、すべての動作を描きたいから(平たく言えば雪風をカッコよく飛ばしたい?)という動機でシチュエーションを考え出した連作ストーリーの前作とは違い、雪風の「中」に深く入りつつ、登場人物たちの成長や変化、未知の存在に対する考察などを描き、文字通り厚みが増した続編。SFマガジン連載開始時に大喜びしたものの、自身の頭の限界からついて行けず次第に失速、単行本化してから、やっと読み終えたが、十分堪能しきれず着地。今回文庫で再読したが、未だ妖精の目を持たざる自分を再確認。2015/07/03