内容説明
スイスに滞在していた登山家の滝沢は、自らのミスで遭難事故を起こし、苦しい立場に立たされる。そんな折り、旧友でありかつてともにヒマラヤを駆けたチベット独立運動の闘士ニマの窮地を告げる手紙を受け取り、滝沢はヒマラヤへ向かう。手紙を出したのは、ニマが自分の父親ではないかと疑う日本人女性、摩耶。滝沢は彼女とともに政治の罠が待ち受ける苛酷な山々へ踏みこんでゆく。雄渾の筆致で描く迫力の山岳冒険小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
1
『遥かなり神々の座』から6年。再び滝沢育夫が還ってきた。しかし、前作の滝沢の人物像と今回のそれとはなんだか異なる印象を受けた。まず、とにかく冗長というのが上巻を読んだ時の印象だった。前作『遥かなり神々の座』では一流の登山家からチベット・ゲリラの参謀ニマと共に死線を潜り抜けた事で一人の戦士となった滝沢。しかし、本書では人生の敗北者となってうじうじした男の独り言が繰り返されるようなストーリー展開。特に煮え切らないのが滝沢が頻繁に見せる優柔不断さ。2009/12/19
いちはじめ
1
「遥かなり神々の座」の五年後の物語。谷甲州の描く主人公は、失敗だらけでも、あまりいらいらせずに読めるのが不思議。最善を尽くそうとしたぎりぎりでの選択でのミスなのと、自らの失敗にすぐ気付いて反省するからだろうか?2008/07/27
きなこ
0
フィクションはしんどい2016/01/29
クマー
0
「遥かなり神々の座」の続編。主人公の滝沢が煮え切らない性格になっていた。前作とキャラが微妙に違う。そのせいか、読んでいて主人公にイラッとさせられる部分があった。主人公はニマ達の窮状を救うことができるのか。下巻へ続く。2012/12/31
readtuktuk
0
いま、他の方々の感想を読んではじめて、これが「続編」(未読の小説の5年後の物語)ということを知りました。どうも伏線をひっぱったままで説明がないと思っていたら(今、下巻の途中)。。。2010/02/28