出版社内容情報
この世でもっとも美しい生き物ユニコーン。いつのまにか世界中から姿を消し、ただひとりがライラックの森に取り残されていた……
内容説明
たんぽぽの綿毛のように柔らかなたてがみと貝殻色に光る角を持った、この世で最も美しい生き物、ユニコーン。そのかれらがいつのまにか世界中から姿を消してしまっていた。ライラックの森にひとり残された最後のユニコーンは、蝶が残していった「赤い牡牛」の言葉を手がかりに消えた仲間を求めて旅に出る―水晶のような感性とリリカルな文体が紡ぎだすモダン・ファンタジイの最高傑作。
著者等紹介
ビーグル,ピーター・S.[ビーグル,ピーターS.] [Beagle,Peter S.]
1939年ニューヨーク生まれ、ブロンクスで育つ。1956年、ピッツバーグ大学1年生の時、“セヴンティーン”誌の短篇コンテストにサリンジャー風の小品「テレフォン・コール」を応募し、大賞を受賞する。1960年、第一長篇『心地よく秘密めいたところ』を発表。1968年には、本書『最後のユニコーン』で作家としての確固たる地位を築く。2005年に発表されたノヴェレット“Two Hearts”で、ヒューゴー賞とネビュラ賞を受賞している
鏡明[カガミアキラ]
1948年生、1971年早稲田大学文学部卒、作家・評論家・翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小太郎
42
これを書店で見たときには少し驚きました。中学高校時代からSFを読む事は生活の一部でした。今もそれは変わっていないと思います(量とかはずいぶん違うけど)。そのかなりの量の本の中には殆ど忘れてる作品、そしてまだ鮮明に覚えている物語があります。この「最後のユニコーン」は当時1980年くらいに読んだ記憶がはっきりと残っている一冊です。決して読み易い本ではないのですが、その衒学的な雰囲気とひょっとしたら自分の世界を見る目が少し変わったかもしれないと思わせてくれた本でした。復刊が嬉しいし天野さんの絵も素敵です。★42023/09/18
星落秋風五丈原
25
天野喜孝さんの表紙絵の美しさよ。この美女が実は…なんですからねえ。この世ならぬ美しさ。2023/12/19
ふみふみ
13
ユニコーンのキャラが神秘的で魅力的、そして文体がなにげにビビッドなもんで冒頭からがっつり引き込まれましたが、それもフォーチュナ婆さんのエピソードまで。以降は面倒臭いキャラのシュメンドリックを筆頭にややこしい面々、そして回りくどく、もったいぶった展開に興が削がれた次第です。ここをリリカルだ、ファンタジーだと思うか、もっと明瞭にメリハリつけんかいと思うかで好みは分かれるんでしょうかねえ。冒頭から50ページぐらいまではホントに「モダンファンタジイの最高傑作」の煽り文句通りかもと思わせてくれただけにちょっと残念。2023/10/12
おだまん
9
ファンタジーの王道。その一言につきる。今まで読んでなかったのは不覚。履修中の葬送のフリーレンに重ねて堪能。ユニコーン♡2024/01/27
arianrhod
6
モダン・ファンタジィの最高傑作という評価と何より天野喜孝の表紙につられて読む意欲がでました。初読み作家さんでした。ほんとファンタジーデシタ。辛いというよりはだれるって感じかな。だけど楽しくないわけじゃないのよね、複雑。だって続編の存在を知って、ちょっと気になっている。難しく考察しない方がいい系なのかも。小学生くらいにであえてたなら、もっと純真な気持ちでわくわくできたのかもと思える。ちょっと児童文学めいた感じがあるのです。理屈や寓話的比喩がこめられているかとかは、おいておくことにしました。2024/01/23