出版社内容情報
クリス・ハドフィールド[ハドフィールド クリス]
著・文・その他
中原 尚哉[ナカハラ ナオヤ]
翻訳
内容説明
打ち上げ直前のヘリ死亡事故によるクルー変更にもかかわらず、カズたちが見守るなか、アポロ18号は無事飛び立つ。最初の目的は軌道上のソ連偵察ステーション、アルマースだ。そこで思いがけないソ連宇宙飛行士との衝突が起こるものの、クルーは予定どおり月へ向かうことに。だが、そのころ地上ではヘリ事故が破壊工作の結果だと判明していた。そしてその容疑者は宇宙にいた!衝撃の改変歴史SFスリラー。
著者等紹介
ハドフィールド,クリス[ハドフィールド,クリス] [Hadfield,Chris]
1959年カナダ生まれ。アメリカ空軍テストパイロット学校をトップで卒業し、1992年にカナダ宇宙庁より宇宙飛行士に選出される。1995年と2001年に、スペースシャトルで宇宙に出る。2012年、ソユーズで3度目の宇宙飛行へ。カナダ人として初めて国際宇宙ステーション船長を務め、144日滞在した。その際、宇宙で撮影した写真や動画をインターネットに投稿し、世界的に話題を呼ぶ。国際的なベストセラーになった『アポロ18号の殺人』は、初のスリラーである
中原尚哉[ナカハラナオヤ]
1964年生、1987年東京都立大学人文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
18
後半になって、作者の書きたかったことがわかってきます。これはレトロフューチャーの逆、未来の今考えた、過去にこんな事がありえたかも、というイフの物語であり、その域から一歩も出ていないポリティカル・アクション・サスペンスなのだと。そして、新たな不思議が皆無であるので、SFともいえないと思う。米ソの冷戦時代、宇宙開発という新たな戦場で何が起きえたかというアメリカ視点の物語。面白いと思う人にとって良い冒険小説なのですけど、それだけ。なぜ早川書房がこれをSFとしたのか疑問。2022/10/08
天晴草紙
16
実際には飛ばなかったアポロ18号を巡る架空歴史SF。米ソ対立の中、アメリカの宇宙船になんとソ連の女性宇宙飛行士が途中で同乗することになる。目的地はソ連の月面無人探査車ルノホート。宇宙飛行士である著者の体験と関係者への膨大なリサーチによってリアルな描写にはわくわくした。ただ、銃の発射説明に1ページを費やすなど説明過多の部分がある。充分楽しめたけれどあっと驚くどんでん返しを期待した最後は予想の範囲に収まってあっけなく終わった感じがした。2022/09/28
もち
15
「黙ってすわってろ。世界最高の操縦を見せてやる」◆思わぬ乗客と共に月へ到達した18号。月探査車を破壊したいアメリカと、策謀で反撃したいソ連の思惑が衝突する。裏工作、籠絡、打開策。友好と敵対の境界を行き交いながら、アポロは地球へ降下していく。■冒頭のキャプションどおり、実在の人物と出来事で多くが構成されているということに驚く。別の世界線上で、緊密な宇宙計画を立案し、本当にあったエピソードを差し込みながらも、リアル一辺倒でない豪快な、手に汗握る大諜報活劇を創造してみせたということだ。2024/08/21
アラム
13
ホンモノの宇宙飛行士が描くSFスリラー(?)未来的SFも好きだけど、機内にボタンがいっぱいの宇宙船ってのもまた好きなんだ。著者の経歴もあり、描写はかなり細かい。説明が長い部分もあり、好みは別れるようだが、これくらいなら私は全然OK。主人公の心理描写が薄く、キャラクターを愛するタイプの小説ではない。登場人物たちは米ソ冷戦の枠組みを語る小道具といった感じもするが、逆に心理について想像の余地があるので、総論的には面白かった。タイトルから想像するミステリー的要素は果たして機能しているのか疑問。2023/04/07
本の蟲
13
外交とは右手で握手し左手で殴り合う(あるいは棍棒、ナイフ、拳銃その他)なんて言葉もあるが、元宇宙飛行士が詳細に描く、宇宙開発をめぐる米ソのガチンコバトル。発射直前の宇宙飛行士事故死による、バックアップクルーからの繰り上がり。敵国資産への破壊活動と軍事衝突に死者。当然のように行われるお互いの軌道、行動、電波の監視。国防トップがめぐらす陰謀と指示。その指示のもと、呉越同舟の月面で行われる両国宇宙飛行士の協力、と同時に化かしあいと妨害工作。メディアの前では政治家同士が国際協力の重要性を謳いあげる。大人の喧嘩怖え2022/10/03