出版社内容情報
「宝石の惑星」をはじめとするキャッシャー・オニール・シリーズ4篇、オリジナル版の「第81Q戦争」など全11篇を収録した完結篇
内容説明
“人間の再発見”の第二世紀、美しい砂の惑星ミッザー生まれの放浪者キャッシャー・オニールの驚異の冒険を描く“三惑星の探求”全4篇(「宝石の惑星」「嵐の惑星」「砂の惑星」「三人、約束の星へ」)、“人類補完機構”最後の作品「太陽なき海に沈む」、“空の向こう”に旅立ち、帰還した若く年老いた少尉の物語「ナンシー」など、本邦初訳3篇を含む全11篇を収録。SF史上最も有名な未来史を集成した短篇全集・完結篇。
著者等紹介
スミス,コードウェイナー[スミス,コードウェイナー] [Smith,Cordwainer]
1913年アメリカ生まれ、1966年没。本名ポール・マイロン・アンソニー・ラインバーガー博士。著名な政治学者で(ジョンズ・ホプキンス大学教授。中国を中心とする極東の政治が専門)、軍人(陸軍情報部大佐)。少年時代を中国で過ごし、かの孫文につけられた中国名は林白楽。第二次大戦と戦後の米国の対日政策でも重要な役割を果たし、ケネディ大統領の顧問も務めた。1950年、ファンタジイ・ブック誌に「スキャナーに生きがいはない」を発表し、SF界にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
214
とうとう長い長い未来史を読み終えた。この物語が支持されるのは、テーマとして愛を強く意識させるからかもしれない。永遠に普遍の人間の本性については、かなり意識して書かれているように思う。なんだか姿や形や設定は異なりながら、というか異なるからこそ愛の形の人間らしさにホッとする。残酷な事件でもどこかほっこりさせられる昔気質のSF短編集。中でもキャッシャー・オニールが登場する連作は特に面白かった。2020/02/27
kokada_jnet
54
シリーズ完結編。うち3作がファンジンへの翻訳掲載のみで、新訳が必要だったのだが。伊藤典夫氏に訳してもらっていると、またも「10年後の刊行」ということになってしまうため、酒井昭伸氏が担当して翻訳という形。伊藤・浅倉訳で統一してもらいたかった気持ちもありますが…。 なお、伊藤氏が既訳の作品も、題名を変えたりしている。翻訳の中身まで、再調整しているのだろうか?2017/08/23
Small World
44
スミスの『人類補完機構』シリーズの第3巻を読了です。このシリーズらしい、いわゆる異形感は薄めですが、犬女や亀娘など、人物より魅力的なキャラが出てくると安心します。お気に入りは最終話の「三人、約束の星へ」でした。シリーズがこれで終わりと思うと寂しいですが、他の作家の未来史も読んでいこうと思います。2018/02/21
おにく
27
映像化を無視した大胆な構図と、他に類をみない世界観に惹かれ、最後を飾る本書も手に取りました。物語は多くの空白を残したままですが、あとがきでスミス氏は「旅行先で約三千年分のアイディアノートを無くした。」そうで、ノートは結局見付からず、今では作者や、執筆に関係した人がこの世を去り、続きを書ける人がいないそうで、思いの他、寂しい気持ちです。自分はにわかファンですし、好きになった本の作者が既に故人というのは珍しい事ではないのですが“子供の頃、好きなアニメの最終回を観たとき”の寂しさに似ていると思いました。 2017/10/07
kinnov
27
初翻訳の「嵐の惑星」が素晴らしかった!突飛な設定、提示される謎の不可解さ、あまりにも魅力的な登場人物、それらを通して描かれる物語に溢れる感情の豊かなこと。こんなに美しく愛しく残酷で優しいSF中編は初めて読んだ。人類補完機構シリーズだとか違うとかは関係なく、コードウェイナースミスの最高傑作だと思う。幼い見かけと深い思考や感性を持っ女性ト・ルースの存在を感じ、憎み、愛し、信じる体験をするだけでも一読の価値はある。2017/09/25