出版社内容情報
不可思議なおもちゃを手にした兄妹の成長を描く表題作他、7篇を収録するアンソロジー
高橋 良平[タカハシ リョウヘイ]
伊藤 典夫[イトウ ノリオ]
内容説明
未来人がタイム・マシンのテスト用に過去へと送った、いらなくなったおもちゃ箱。それを偶然手にした兄妹の身に起こったこととは…ルイス・パジェットの幻の名作である表題作をはじめ、SF界の大御所ポールの初期の代表作「虚影の街」、異星からの恐るべき侵略を描くブラナーの「思考の谺」など、SF界きっての目利き伊藤典夫が惚れこみ翻訳した傑作の中から、SF評論の第一人者高橋良平が厳選した7中短篇を収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
78
翻訳者のセンスが光る一冊だが…パジェット:少しくどい。ジョーンズ:両親のその理解に納得できない、結論として受け入れた情況も信じられない。ポール:当時は余程社会への不信感が強かったんだ?カットナー:主人公と共に欺かれるとは!ライバー:この堪らない程の寂寥感がいい。マッスン:理路整然とした理不尽の巧みさを感じさせる。ブラナー:都合の良い解釈と予定調和過ぎる物語の進め方に時代を感じてしまう。結末ありきで都合の良い解釈を開陳していくのはSFの弱点と言えるかも?その点ライバーとマッスンの作品は説明し過ぎず別格!2017/07/08
藤月はな(灯れ松明の火)
48
海外SFの翻訳を読む人なら一度は読んでいる伊藤典夫氏によるSF短篇集。「子どもの部屋」はX-Menぽい話ですが、最後、我が子ではないが我が子をトレースした代替を受け入れたスターブルック夫妻の姿に「代替でもウォルトだ」と思う親の深い愛情か、代替さえあれば人は簡単に大切な者を忘れるという人間の虚ろさなのかを考えるだけで読後感が違う作品かも。「虚影の待』と『ハッピーエンド』はもしかしてカルトSF映画『ダーク・シティー』の元ネタなのかしら!?「若くならない男」は逆「歓迎と別離」(ブラッドベリ)めいていて切ないな。2017/02/23
Panzer Leader
45
昔読んだ事がある様な懐かしさを感じさせる古き良き短編集。SFは読むけれどSFマガジンを購読するほどディープではない自分にとっては初読みの作家ばかりであった。第2弾も用意されているようでそちらの方も楽しみ。2017/08/05
ニミッツクラス
37
16年(平成28年)の税抜980円の青背初版。翻訳者伊藤氏が65-77年にSFMに訳出した中から、高橋氏が中短編7編を抽出。伊藤氏自選翻訳アンソは別にある。表題作のパジェットは4話目のカットナーと同一人物だから本書では2編選出。お目当てはあまり名前の挙がらないジョーンズとマッスンかな。前者は“人類の未来を担う子供の親は大義のために子供を手放せるか”の究極の選択。後者は時間界面付近での戦争で、前線では数分の戦闘が銃後では30年とか経過している世界。除隊して一家を持った男を待ち受ける運命とは…。★★★★☆☆2023/09/29
波璃子
34
海外SFを読むうちに随分見慣れてしまった伊藤典夫さんの翻訳した作品の傑作選とのことで即買いしたもの。どれを読んでも当たり。今までいろいろな作家さんの作品を集めてきた短編集ではどれかが合わない、ということが多かったので貴重な一冊になった。読めてよかった。こういう試みは楽しいと思うのでぜひ他の翻訳家さんでもお願いしたい。2016/12/23