出版社内容情報
創立70周年記念作品。惑星ソラリアで起きた殺人事件の謎に刑事ベイリが挑むが……傑作『鋼鉄都市』の続篇。
内容説明
地球の人類は鋼鉄都市と呼ばれるドームのなかで、人口過密に悩まされながら生きていた。一方、宇宙へ進出し、繁栄を謳歌している人類の子孫、スペーサーたちは各植民惑星に宇宙国家を築き、地球を支配下においている。数カ月前にロボット刑事ダニールとともにスペーサー殺人事件を解決したニューヨーク市警の刑事ベイリは、宇宙国家のひとつ、ソラリアで起きた殺人事件の捜査を命じられたが…『鋼鉄都市』続篇の新訳版。
著者等紹介
小尾芙佐[オビフサ]
1955年津田塾大学英文科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
108
ベイリとダニールのコンビ再び。今回も未来宇宙SFと犯罪ミステリが見事に組み合わさったエンタメな小説を楽しめた。舞台は地球を離れて宇宙国家ソラリアへ。かの地は特殊な生活文化が根付いており、そのため殺人事件も捜査も独特だった。人が極端に少なく、一方でロボットが溢れている。人と人は直接の接触を嫌い、立体映像でしか会わない。これを読んで今のコロナ社会の未来がちらりと頭をかすめた。事件の方はロボット三原則の論理の壁やベイリによるソラリア人に対するある理解がカギに。最後はミステリの醍醐味とも言える見せ場を堪能した。2020/08/16
cinos
49
新訳で再読。まさに「ステイ・ホーム」の殺人。25フィート=7.6メートルで近いって、どんだけソーシャルディスタンスなのか笑 グレディアが魅力的。ZOOMでみんな裸だったら笑える。ミステリとしての解決の閉じ具合とベイリの目覚めというSFの開き具合が絶妙なSFミステリの傑作!2020/07/14
森オサム
44
「鋼鉄都市」の続編。前作を読んでこの世界での地球人を理解していないと、ベイリの苦しみ、苛立ちは分かり辛い。今回の舞台であるソラリアとその国民の性質には初めて触れたが、これもまた非常に奇妙で極端である。その二つの文化がぶつかりながら物語が展開するので、読んでいてざわざわして来る。ベイリの強硬な態度は子供っぽい傲慢さに見え、もう少しダニールとのバディで上手くやって欲しい、とか思いましたね。ただミステリーとして終盤の謎解きで畳み掛ける姿を見れば、ベイリは良くやったのかも知れませんが。続編は絶版、読みたいなぁ…。2024/08/12
かえで
35
SFミステリの傑作「鋼鉄都市」の続編で、アシモフのロボット長編の2作目になります。地球人刑事ベイリ&ロボット刑事ダニール、2作目はドームに覆われた地球を飛び出し、2万の人間と数百万のロボットが生活するソラリアへ…そこで起きた殺人事件の調査のお話です。ロボット三原則がもちろん絡みます。謎が最後に一気に解かれるのは爽快ですが、人間の在り方のようなものを含んだテーマには重さもあります。タイトルは序盤で軽く出てくるのでそんなに深い意味はないのかと思いきや…そうではなかった。脱帽です。続編も新訳で復刊してください!2015/07/19
GM職員
26
頑固な刑事・ベイリーと、最新鋭アンドロイド・ダニールの活躍を描いたSFミステリ『鋼鉄都市』の続編。宇宙国家のひとつ、惑星ソラリアで起きた殺人事件の捜査に指名されたベイリーが宇宙へ飛ぶ!地球人とソラリア人の文化風習や気質の違い、そして「ロボット工学三原則」などの舞台設定が特殊なだけで、筋立ては至って王道のミステリ。もっとダニールを信用してもいいんじゃないかベイリー?素直じゃないなと思いながら読んでいると、しっかりイイところで出てくるダニールがきっちり相棒してて頼もしくズルい。さらなる続きの話も探さなければ。2020/09/13