遺言―対談と往復書簡

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  • サイズ B6判/ページ数 221p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784480816771
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

未曽有の大災害と原発事故の後、言葉を交わしあうことを強く望んだ染織家と作家。長年の友人である二人が、残された時間を自覚する中で実現した対談と往復書簡。

内容説明

―未曽有の大災害と原発事故の後、言葉を交わしあうことを強く望んだ染織家と作家。長年の友人である二人が、「一日一日が最後のような日々」の中で、切望し実現した対談と往復書簡。

目次

二〇一一(平成二十三)年(志村ふくみより石牟礼道子へ 三月十三日;志村ふくみより石牟礼道子へ 七月三十日;志村ふくみより石牟礼道子へ 八月八日 ほか)
二〇一二(平成二十四)年(石牟礼道子より志村ふくみへ 一月二十日;志村ふくみより石牟礼道子へ 一月三十日;石牟礼道子より志村ふくみへ 二月二十四日 ほか)
二〇一三(平成二十五)年(石牟礼道子から志村ふくみへ 五月四日;石牟礼道子より志村ふくみ、洋子へ 五月二十七日;石牟礼道子より志村ふくみ、洋子へ 五月三十日)

著者等紹介

志村ふくみ[シムラフクミ]
1924年滋賀県近江八幡に生まれる。55年、植物染料による染織を始め、57年、第四回日本伝統工芸展に初出品で入選。83年、『一色一生』(求龍堂)により大佛次郎賞受賞。86年、紫綬褒章受章。90年、国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。93年、『語りかける花』(人文書院/ちくま文庫)により日本エッセイスト・クラブ賞受賞。同年文化功労者に選ばれる

石牟礼道子[イシムレミチコ]
1927年熊本県天草郡に生まれる。69年に刊行された『苦海浄土―わが水俣病』は、文明の病としての水俣病を伝えるものとして注目される。翌年、大宅壮一賞に選ばれるが辞退。73年マグサイサイ賞、86年西日本文化賞受賞、93年『十六夜橋』で紫式部文学賞受賞。2001年、朝日賞受賞。02年『はにかみの国―石牟礼道子全詩集』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaoru

69
染色家の志村ふくみさんと故石牟礼道子さんの対談・書簡集。天草四郎を扱った石牟礼さんの新作能など話題は多岐に渡る。お二人とも文明の行き詰まりを憂い、昔の人びとが持っていた繊細な感性が失われているのを嘆く。石牟礼さんは著述で、志村さんは染色で表現されているがどちらも自分の自我ではなくどこか深いところから湧いてくる自然の声を捉えていらっしゃるように感じる。石牟礼さんの『沖の宮』と題された能の台本や『幻のえにし』という詩。「深く生きる」ということの意味。「生きとし生ける生類の都」がなくなったという石牟礼さん→2021/11/09

Gotoran

51
東日本だ震災後、自分の仕事の根本が揺らぎ、言葉を交わし合うことを切望したと云う染色家の志村ふくみ氏と長年交流のある『苦海浄土』の著者石牟礼道子氏との往復書簡と対談と加えて石牟礼氏の能『沖若』と詩『幻のえにし』をも収録。人生の達人のお二方が東日本大震災を手掛かりに、現代の日本、さらに自然と人間の関わり方について、深い洞察と現代社会の急激な変貌に警鐘を鳴らされている。最後の志村氏の”あとがき”にある石牟礼氏の俳句が意味深だった(2年前の昨日、91歳で逝去の石牟礼氏、今となっては、本書は表題通り)。2020/02/11

みねたか@

32
2011年から2013年にかけた往復書簡と対談,老いて身体も不自由になり,自分のできることの限界を自覚するからこそ,伝えたい,遺したいことに真摯に向き合う。そんな姿に胸を打たれる。石牟礼氏の新作能「沖宮」。二人がその言葉に、そして「水縹(みなはだ)」と「緋」という二つの色に託したもの。おもいという単純なものではない。人と天地,生者と死者,そしてそのあわい。あらためて人の生のありようを問いかけられているようだ。2020/06/18

akane

11
今年1月に見たETV特集「ふたりの道行き 志村ふくみと石牟礼道子の『沖宮』」が忘れられず、読了。石牟礼さんの遺作となった新作能は、竜宮の姫として雨乞いの生贄となる、緋の色をまとった少女あやを、霊界から兄の天草四郎が迎えにくるという筋書き。愛らしい少女を人柱として海の底に沈めてしまう残酷さは、再生の神聖な物語へとつながってゆく。水俣病を病む人々、また東日本大震災で失われた多数の人命に思いをはせつつ『沖宮』を読めば、作品の底に流れる死と生への深い祈り、そのスケールの大きさに圧倒される。純文学の底力を見た。 2019/03/14

踊る猫

11
どうも前のめりになって読めなかったのは彼女たちの仕事に対するこちらの無知故かもしれない(イヤミではなく、本気でそう思う。『苦海浄土』程度しか読めていないのだった)。昔は良かった……それだけが詠嘆となって残り、現在への前向きな提言としては響かないように感じられるのだ。志村ふくみ氏の仕事にもっと触れればあるいは言葉に重みを感じられたのかもしれないから、やはり私の怠慢がツケとなってこの重要な「遺言」を読めなかったのだと思うしかない。彼女たちの言葉をどう未来に活かすか。それこそが重要な問いなのだと言うことだろうか2017/05/02

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