内容説明
1974年、世界はかつてない暗黒時代を迎えていた。第二次大戦で圧倒的勝利を収めたナチス・ドイツが、ヨーロッパのみならず、世界の大部分を支配していたのだ。そしてナチスの魔手は、ついにアメリカ合衆国へと伸びようとしていた。アメリカにとって最後の希望は「プロテウス作戦」―過去へと精鋭部隊を送りこみ、歴史の進路を変えて、ナチスを叩き潰す作戦であった!ホーガンが迫真の筆致で描く時間テーマSF超大作。
著者等紹介
ホーガン,ジェイムズ・P.[ホーガン,ジェイムズP.][Hogan,James P.]
1941年、ロンドンの生まれ。16歳で学校をやめ、新聞社のメッセンジャー・ボーイや食料品店の配達係などの職を転々としたのち、奨学生選抜試験に受かり王立航空研究所に入学、電気・電子・機械工学の実際と理論の両面を学ぶ。いくつかの会社で設計エンジニアとして従事したのち、1970年代にデジタル・エクィップメント社に入社。1977年、同社の仕事でアメリカに移住。同年処女長篇『星を継ぐもの』をバランタイン社より出版、一躍SF界の注目を集める
小隅黎[コズミレイ]
1926年生、2010年没、SF研究家・作家・翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Panzer Leader
52
ナチスに支配された世界を修正せよ!滅亡間近い1974年のアメリカから1939年に送り込まれた特殊精鋭部隊の活躍を描くSFポリティカル・アクション大作。三十年前にはこれぞ自分の好みのどストライクとばかり夢中でなって読んだものだった。今はジョー・ウォルトンのファージング・シリーズなどその手の同種の作品も多いけど、これほどの要素を盛り込んで力技で描き切る作品はなかなか見当たらない。ナチスの支配する世界が段々と現代と似た状態に変換していく様は、其のあたりの歴史を知っているとより楽しめる。2019/03/05
ぐうぐう
27
ホーガンが歴史改変もの? しかも、ナチスドイツが第二次大戦に勝利した世界という、手垢の付いた設定と聞き、「何を今更……」とかなり首を傾げながらの読書となった。ただ、そんな懸念は、数ページ読むだけで吹っ飛んでいく。傾げていた首が起き上がり、開いたページにのめり込んでいくのだ。読者の想像を何度も裏切る展開が用意され、二重三重のカラクリを張り巡らせ、SFを堪能させてくれるのが嬉しい。さらに、ホーガンならではのハードSFを感じさせる量子理論を、アインシュタインに語らせるお遊びも憎い。(つづく)2016/05/28
maja
18
第二次世界大戦でドイツが勝利し圧倒的な支配で暗黒時代を迎えている1974年、大戦前の過去に歴史を修正するために先鋭チーム「プロテウス・オペレーション」が送り出される。しかし、チームにはすでにこの時空軸に続く未来から来た科学者と指揮官のメンバーがいた。幾筋もの時間軸が現在に繋がっていくところが見せ場の、冒険活劇が合わさったホーガンの歴史改変小説。重なる時間軸に干渉結果の狂いを追う歴史家、この時代設定には魅力が尽きないなと思うのである。2018/10/16
SINKEN
14
【総評】★★★★☆ 【感想】元々上下巻だったものが一冊にまとまった分、読むのに時間かかったけど、内容的には非常に面白かった。歴史改変SFではあるのだけど、そこにMultiVerse論をぶつけてくる辺りは流石だなと思った。登場人物も第二次大戦前後に実在した人達であったりして、歴史物として見た時にも、各々の選択がその後の世界に与えた影響などをあれこれと考えることで違った楽しみを得ることができる。この本を読んだことでまた違った世界が開けたのだとしたら、その先に何が待っているのか、、、楽しみ。2017/05/17
ykoro
13
歴史改変タイムマシンもので、流石、ホーガン、面白かった。 理論的な考え、プロットが意外に組み合わされている本格ハードSFだ。 あの理論物理学者デイヴィッド ドイッチの「世界の究極理論は存在するか―多宇宙理論から見た生命、進化、時間」の推薦書籍に有ったので購入したが、期待通りだった。2015/01/31