内容説明
途方もなく大きな円形帆は、惑星の間を吹く太陽からの風を受けていっぱいにふくらんでいた。レース開始まであと3分。これから地球を2周して、その加速で地球から脱出し、月へとむかうレースが始まる…男たちの夢とロマンをのせ、宇宙を疾駆する太陽ヨットレースを描いた表題作をはじめ、木星の生命体との驚異のファースト・コンタクトを見事に描き、ネビュラ賞を受賞した「メデューサとの出会い」など全18篇を収録。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
葵衣
15
クラークは『幼年期の終り』よりも、こちらの短篇集の方が好き。お気に入りは「太陽からの風」「大渦巻2」「地球の太陽面通過」。「十字軍」「記録再生」「Fはフランケンシュタインの番号」も好み。「太陽からの風」では、宇宙ヨットによるレースが臨場感たっぷりに語られる。最初は宇宙ヨットにあまり食指が動かなかったけれど、読み進めるにつれてわくわくしてくる。最後は、人間の想像など到底及ばないほどの壮大さに、宇宙のロマンを感じた。2018/04/10
おーすが
13
月に墜落することになった男を描く「大渦巻Ⅱ」、太陽帆船で月を目指す表題作「太陽からの風」、火星から帰還不能になる男の話「地球の太陽面通過」、気球での木星探索「メデューサとの出会い」。この四篇が最高に良かった。エモいとはこのこと。キラキラ輝く余韻に胸があつくなる。表題作の美しさに気をとられてたら、「太陽面通過」で泣きました、はい。「史上最長のSF」からの「ハーバート・ジョージ・モーリー・ロバート・ウェルズ殿」の流れが良き閑話休題。クラークが登場してニコニコ。2021/02/21
亮人
12
クラークは『幼年期の終り』みたいな人類の次のステージを哲学的に描くみたいな文系SFがキライだったけど、地続きの科学未来を描いた理系SFはロマンがあってメッチャいい!とくに「大渦巻2」「太陽からの風」「地球の太陽面通過」「メデューサとの出会い」の四編が素晴らしい!クラークはこっちの方向で行った方がいいよとアドバイスするわw2018/03/29
月世界旅行したい
12
昔読んだ。クラークは人類うんぬんを語ってる時より、技術や科学を語っているときが一番魅力的だと思うんだ。2014/11/18
roughfractus02
11
晩年の作者は同時代の作者との共作を好んだが、60年代の作者は過去の作者の作品や発想を現代の科学と未来の技術で更新することを好んだようだ。18編の中には、「大渦巻II」(ポー)、「太陽からの風」(ケプラー)、「メデューサとの出会い(コナン・ドイル、メルヴィル)、「Fはフランケンシュタインの番号」(メアリー・シェリー)、「史上最長のSF」「ハーバート・ジョージ・モーリー・ロバーツ・ウエルズ殿」(H・G・ウェルズ)が挟まれ、それらには、宇宙やネットワークの広がりの壮大さと不気味さが隣り合うように配置されている。2023/10/17