内容説明
30世紀、人類のほとんどは肉体を捨て、人格や記憶をソフトウェア化して、ポリスと呼ばれるコンピュータ内の仮想現実都市で暮らしていた。ごく少数の人間だけが、ソフトウェア化を拒み、肉体人として地球上で暮らしている。“コニシ”ポリスでソフトウェアから生まれた孤児ヤチマの驚くべき冒険譚をはじめ、人類を襲う未曾有の危機や、人類がくわだてる壮大な宇宙進出計画“ディアスポラ”などを描いた、究極のハードSF。
著者等紹介
山岸真[ヤマギシマコト]
1962年生、埼玉大学教養学部卒、英米文学翻訳家・研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
66
人類がソフトウェアとして生きる30世紀。少数残っていた「肉体人」を滅亡させた中性子星暴走の謎を追って時間と空間を超えた旅が語られます。それは、ヤチマがイノシロウと「見知らぬ他人」にならないために地上に行きそれが壮大な旅に繋がるように、オーランドの心に生きていたリアナが彼を前に進む決意を固めさせるように、他者と交わり「架橋」しながら前に進むの人々の、また全てを理解するのは不可能な広大で深遠な宇宙の中で「見つけようとしていたもの」を見つけるまで探求する人間や知性体の物語で、その姿勢に勇気づけられるようでした。2025/10/15
GaGa
56
今まで読んだイーガン作品では最高傑作だと思う。違うと言われるかもしれないが筒井康隆「幻想の未来」を21世紀バージョンで描いたらこのような作品になるのではないかと思う。特に第四部以降の物語の加速度は素晴らしく、SFと言う文学の可能性を延々と追い詰めていく。素晴らしい。2012/09/12
読書ニスタ
39
昨今、AIやビックデータ、ドローンや自動運転という新技術が生まれようとしており、私たちの生活がどう変わっていくのか、議論されることが多い。本書では肉体を離れ、高速処理による稼働時間の増加とクローンによる多数の場所に複数存在しうる自分という存在に踏み込んだ惑星間移動するSF作品である。科学技術や宇宙物理学の記述は無視して読み進めた。エネルギーも物質も無限に存在しうる世界で永遠の命が担保されるなら、生きる目的は、宇宙の根源への探索となるだろうか。他人を服従させたいと思う、エゴだけが残りそうで怖い。2019/09/23
ひさか
36
アイデアのメモで構成されたようなハードなSFで、面食らってしまいました。お話になってないようなところも多く、読み方を変えて読みましたが、なかなか手強かったです。2014/05/29
ゲンショウ
36
拝読。民族的離散と苦難の放浪を意味する題名。最早、生物ですら無い主人公。その誕生は、人工的に管理された環境で、偶然性を模索する…ひどく、矛盾を孕んだ事象。いじましく、儚き命の有り様を感じる。真理鉱山で、数学的真理を発掘するその者は、思索の神、無面目を連想させる。人の…否、知的生命の叡智を凌駕する自然の複雑性、無限性に人々は倦み疲れ、やがて立ち止まる。そんな中、その者だけは探す事を止めない。この欲望は、度し難き事…が、御し難き事でも有る様に感じる。2010/11/28




