内容説明
ステップと妻ディアンヌと三人の子供たちは引っ越した町での生活にだんだんとなじんできた。だが、七歳の長男スティーヴィは、転校した小学校に慣れないせいか、沈みがちになって、弟や妹の相手もせずに空想の友だちとばかり遊ぶようになっていた。しかも、ステップたちの家では奇怪な出来事がつぎつぎに起こりはじめる…連続少年失踪事件にゆれるアメリカ南東部の小さな町を舞台に、家族の愛と親子の絆を描きだす感動作。ローカス賞受賞。
著者等紹介
カード,オースン・スコット[カード,オースンスコット][Card,Orson Scott]
1951年、ワシントン州リッチランドで生まれる。その後、カリフォルニア州、アリゾナ州、ユタ州で過ごし、ブリガム・ヤング大学とユタ州立大学で学ぶ。現在は、妻と五人の子供とともにノースカロライナ州グリーンズボロに住んでいる。アナログ誌1977年8月号掲載の短篇「エンダーのゲーム」でデビュー。この短篇を長篇化した『エンダーのゲーム』とその続篇『死者の代弁者』で二年連続してヒューゴー賞とネビュラ賞を受賞する。以後、SFだけでなく、ノンフィクションやファンタジイ、歴史小説、普通小説と幅広い活躍を続けている。『消えた少年たち』でローカス賞受賞
小尾芙佐[オビフサ]
1955年津田塾大学英文科卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マッピー
18
タイトルの『消えた少年たち』。上下巻合わせて1000ページ近くになるのに、実際に連続少年失踪事件のことが書かれ出したのは下巻の280ページを過ぎてから。これでは消えた少年たちが浮かばれない。怪しい人は多々出て来るも、すべて小者。しかも少年失踪の話すらみじんも出てこない。大切な人の、救えるはずの命を、純真無垢な善意の塊のその命を、取りこぼしてしまう。どれほどの悔いが残るだろう。だから、「この本長すぎる!無駄が多すぎ!」と怒りながら、号泣してしまったのだ。だって子どもに罪はないもの。(T^T)2021/09/18
kariya
16
新しい学校に馴染めない長男スティーヴィは、空想の友人を作り出して遊ぶようになる。一方、町では連続する少年の失踪事件が親達を恐怖に陥れていた。不可解な出来事が一家を襲い、やがて物語は驚くべき結末へと向かう。たとえ物語の帰結を予測できたとしても、幾つもの場面の、そして結末の、静かで重厚な余韻を残す感動は決して揺るがない。これは耐え難い状況の中で互いを尊重し愛し続けるという、ささやかでとても難しい重荷を与えられた家族の物語だったのだと思う。最後まで、それを成し遂げた家族の。2009/09/30
仲本テンカ
9
主人公夫婦の「子どもは保護すべき対象だ」という価値観と、「子どもの特殊性をどれだけ信じてあげられるのか」という葛藤が深く描かれていたと思います。結末は悲劇的でしたが、主人公一家がモルモン教徒だということが、なぜだか救いに感じられました。宗教の良い面を感じられた気がします。絆の強い家族だったなぁ。2013/09/03
shou
8
敬虔なる理想の家族像を全うするべく奮闘する善意の夫婦の、何故か次々敵を産んでしまうアメリカンホームドラマが、SFに行くのかファンタジーなのかミステリなのかわからないまま延々続いた後に、ずっと片隅にあった不安が急激に膨らんで日常が吹っ飛ぶ結末。子育てには完璧も正解もないのだなあと思う。2015/06/03
mak2014
7
上巻から→。モルモン教徒の風習、地域的な活動などが事細かに描写されていて興味深い。ただ、宗教関係以外にも、父ステップの仕事のゴタゴタ、経済的苦境、長男スティーヴィーの学校の担任の先生との軋轢などをこれほど紙数を費やす必要があったのかはかなり疑問。半分の長さでも良かったのでは。本作がアメリカの一家族を描いた一般的な小説として読んでいたらかなり印象も異なったかもしれない。2016/09/07
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