内容説明
ワームカムをもちいた過去の探査によって、キリストの生涯、フェルマーの定理など、歴史上の謎がつぎつぎと解明されていった。しかし、それらの素晴らしい成果とは裏腹に、ワームカムは人々がお互いを監視する道具としても使われていく。やがて、世界中に普及したワームカムは、人類の未来に驚くべき変化をもたらすことになるが!?人類そして地球の過去と未来を見すえた壮大なヴィジョンで描かれる、ハードSFの新地平。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
11
意志を持ち未来の可能性に向けて自由に振る舞う近代的な主体は、分割できないゆえに死の孤独に耐えてきた。技術によって人類滅亡の未来を知り、過去の歴史が暴かれる本書の世界では、そんな自己同一性こそが障害であるという考えも少しずつ広まり始める。自分のクローンを作って未来も自身の財産を意のままにしようとする男の所有欲は、分割できない自己同一性の限界を表している。一方、ワームカムを脳に埋め込み、<結合者>として他と共有する人々が増えてくると、オリジナルからコピーが自立し、身体の獲得も一つの選択肢となる世界が開かれる。2023/09/30
ニミッツクラス
8
00年の初版(本体660円)を読んだ。上巻の波に乗って下巻へ突入した。これって・・ワームウッド(にがよもぎ)の扱いを最初に考えてあって、滅多に見られない“うっちゃり”をかますお詫びと言うか・・そのために宗教(主としてキリスト教)や人類の起源などに代表されるようなビッグトピックを検証したように思える。そして、今後人類が責務として大宇宙に進出していかざるを得ない50億年分の泣ける理由が現代人の胸を打つ。ヒトの出来はひとまず置いて、私たちはとにかく生きて前進するのだと言う、意義深い啓蒙である。★★★★☆☆2015/03/05
レイス
2
どこでもいつでもカメラに光学迷彩、脳内インプラント、そしてその普及スピードときたら、これはシンギュラリティと呼ぶにふさわしいパニックになりますわな。ただ主要人物の頑張りが逃げ隠れというのが面白くないが。ちなみにハイラムは悪役のようだが、商売マニアだっていいじゃないかと弁護する。不当搾取や環境破壊をしたわけではない。ラストは目覚ましいハッピーエンドだった。彗星衝突なぞ軽くあしらい、すべての人々を復活させる。こんな素晴らしいラストを読んだことがない。神を否定しながらこれは福音と同じなのではと思う。2018/08/14
ぱぶ
2
オーバーロードに託してしまった幼年期を越えて、歴史を再構築しようとしたんだろう。描写は悪くないが、視点・思想が受け入れられなかった。加えてストーリーラインのイベントは興ざめなレベル。ただしコンビとしての2人の長短所がもろに出てるとも言える2008/12/11
Scorpio_type_B
1
クラークらしさが皆無。これまでクラーの合作物にハズレは少なかったけれどもこれは面白くなかった。いわゆるタイムトラベルとクラークは相性が悪いような気がする。2009/05/28
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