ハヤカワ文庫<br> ヴァート

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ハヤカワ文庫
ヴァート

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  • サイズ 文庫判/ページ数 502p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150111267
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

ヴァートとは、新手のドラッグ。効用によって色分けされた羽を口のなかに差し入れて喉奥をなでれば、眼前にヴァート世界が出現する。マンチェスターの片隅でヴァート浸りの日々を送るスクリブルには、呪わしい過去があった。謎の黄羽でトリップし、妹をヴァート世界に置き去りにしてしまったのだ。最愛の妹を取り戻したい一心で、スクリブルは絶望的な探索を続けるが…A・C・クラーク賞に輝く、新鋭の超話題作。95年には最優秀新人賞にあたるジョン・W・キャンベル賞を受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

350
SFなのだが、これまでの諸作家の作品群とは趣きを大きく異にする。物語の舞台は、何時とは定かではない未来社会のマンチェスター。そこには真人間(ピュア)以外にも様々な人間や、人間以外のものが混在している。しかし、小説の全体を支配しているのは紛れもなくドラッグだ。つまりリアルな世界(とはいってもそれ自体が仮想空間的なのだが)と等価なものとしてドラッグによるトリップ世界が存在するのである。表題の「ヴァート」は、いわばそのシンボルであり、小説の構想自体がドラッグによってもたらされる幻影でしかない。私には評価不能。2018/03/19

ケイ

140
最後まで読み終わり頁をめくると、書いてある一文。それを見て最初に戻ったら、ああ、そうなのかと。なくてもいいけれど、あると少しニヤリとしてしまうような仕掛けは好きだ。今回は、さらにその前の献辞もあって、この場合は哀しみが混じるけれども。ドラッグだの、トリップだの、作者についていけない作品も多いが、 これはのっけからともにトリップ出来る。ヴァートでいく世界は何処なのだろう。くすりのやり過ぎで帰ってこれなくなった人のいる世界なのかもしれない。しかし、いとも簡単に出来るトリップは、限りなく死に近いのかもしれない。2017/07/17

まふ

111
ドラッグの夢幻の世界を描いたトリップ記録のようなものと解した。ヴァートというヤクは驚くべき別世界を現出してくれるありがたい宝である。それをハミダシ青年たるスクリブルが妹との近親相姦も含め仲間とともに警官の追及を躱しつつ目指す。その意味ではヨーロッパ伝統のビルドゥンクス・ロマンの変型とでも言いうるかも。個別具体的なドラッグ世界の内容は読んでも分からず「そんなものか」と認識するにとどまる。何がアーサー・C・クラーク賞のお眼鏡にかなったのかは皆目分からないが、ひとまず読了できたことを喜びたい。G1000。2023/12/22

りー

33
うおおおおもしれぇー!パンクでジャンクなバッドトリップ青春小説!未来のヤクでブッ飛んだチンピラどもが、失くしたものを取り戻すために右へ左へ幻覚世界へ大活躍。汚物まみれで汚辱まみれな物語なのに、読み終えてみれば長い夢から覚めた時みたいな喪失感に包まれて、なんとも切ない気持ちにさせられる。設定こそワルぶっていて奇抜だけれど、この物語を頭から尻尾の先まで貫いているのは、創作の世界では王道中の王道、子供が大人の世界へ踏み込むためのイニシエーション。高校生くらいのガキから大人にまで広く読んでもらいたい一冊だ。2016/05/23

ヘラジカ

24
一時期特定のSF小説を買い漁っていたがこちらもその中の一冊。古い積読本。奇抜な発想なのだろうが『オンリーフォワード』をつい最近読んだばかりだったので、そこまで面食らうということはなかった。それに、確かにぶっ飛んではいるが確たる芯のようなものが通っている、意外としっかりとした作品という印象も持った。魅力的なこの世界の謎、ヴァートとはなんなのかがこの作品で解明されることはなかったので、2作目で謎が解き明かされることを期待したい。しかし非常に楽しい読書であった。2017/05/08

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