内容説明
反核活動家エリザベスは破壊工作中に事故にまきこまれ、50年まえの世界にタイムスリップしてしまった。行きついた先は1943年のアメリカ。そこではマンハッタン・プロジェクトが着々と進められ、いままさに世界初の核兵器が開発されようとしていた。なんとか開発を阻止しようとするエリザベスの行為が思わぬ結果を招き、やがてナチスの手に核兵器が握られることに…期待の共作コンビによるサスペンスあふれる傑作SF。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がんぞ
5
タイムスリップした50年前とのジェンダーギャップは笑うほど。マンハッタン計画に潜入するのにファインマン博士に好意を持たれる幸運。未来を知っている彼女も破壊活動して後の結果は制御できない/FDRの4選が阻まれデューイによって原爆投下無しで太平洋戦争は終わり、原爆は“朝鮮、中国大陸、ベトナムで使用される”歴史線と我々の世界はいつかは交わるのではないか。第三次大戦はすでに始まっている、プロローグは冷戦で、核開発闘争と威嚇&軍縮協定⇔条約破棄は序盤戦、掛け引きは周辺国で起こり…双方の誤算による全面対決はあるのか?2019/11/12
がんぞ
3
原子爆弾が未完成で本土決戦があったら、逆に第三の原爆が東京に落とされていたら、多くの並行世界が描かれてきたが、“爆弾化せず放射性の塵”で数日後に都市が壊滅したらとのリアリティある設定。ドイツの潜水艦は奇襲攻撃するぐらいの能力はあっただろう。ただし搭乗員に特殊爆弾の性質は知らされず放射能症浸潤で…/軍人は執拗に京都を原爆の標的と希望したぐらいだから半永久的に不住地となることを気にしないだろう。北米大陸全体で見れば僅かな面積だし。今日も原発の廃炉も“置き捨て”らしいし/実際には長崎のPtも4割は燃え残りという