出版社内容情報
〔ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞〕
銀河のかなたのフォーマルハウト第二惑星で、セムリは〈海の眼〉と呼ばれる首飾りを夫ダーハルに贈ろうとするが……第一長篇『ロカノンの世界』序章となった「セムリの首飾り」をはじめ〈ゲド戦記〉と同じく魔法の支配するアースシーを舞台とした「解放の呪文」と「名前の掟」、『闇の左手』の姉妹中篇「冬の王」、ヒューゴー賞受賞作「オメラスから歩み去る人々」、ネビュラ賞受賞作「革命前夜」など17篇を収録する傑作集
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
56
追悼ル=グウィン。図書館本。アースシー世界の短編目当てに。2018/02/08
ワッピー
36
ル・グィンの軌跡を示す短篇集。禁忌の魔術やタブーとなった技術思想、未来/宇宙で人間が出合うもの、オリジナルとシリーズスピンアウトもの、SF・ファンタジーとその融合すら混在する、なかなかに油断できない作品揃い。表現はさまざまながら、社会(や集団)と個人の関わりを探るものが多いように感じました。その中で意表を突かれたのは、人間を見おろす巨大な生きものの意外な活動と戸惑いと悲しみを描いた「相対性」でした。おそらく30年ぶりの再読のはずですが、どの作品もまるで記憶になく初めて読んだといってもいいかもしれません。2024/12/08
かわうそ
35
概ね時系列で並ぶ初期作品集。初期なのにこの重厚感。さらに読み進むに連れて濃度が上がる。著者の長編はほぼ未読ですが、やっぱり凄いので随時読んでいきます。お気に入りは「九つのいのち」「帝国よりも大きくゆるやかに」「視野」あたり。2019/04/23
くさてる
23
ファンタジーがあまり向いていない人間なので「ゲド戦記」も未読なのですが、エッセイやアンソロジーで読んだ短編が良かったので、初めて手に取ったル・グィンです。ファンタジーからSFまでバラエティに富んだ内容ながら、どれも芯が一本通った、この著者ならではの作品、という印象を受けました。個人的には、既読でしたが、やっぱり「オメラスから歩みさる人々」が素晴らしかったです。いまこの世界のどこかにもいるかもしれない、そして私たちが目をそらし続けている存在。これは永遠に残る寓話だと思う。2024/08/22
ベル@bell-zou
20
ル・グィン自身が編んだ18の物語。各篇の導入部からして難しく本編前に心折れそうになるが、ひきこまれる。仄暗くて壮大な世界。五感も宇宙も森も闇もすべてが時空を超越し何処かで繋がっているのか。10人のクローン「九つのいのち」、森の恐怖「帝国よりも大きくゆるやかに」、博士と鉱夫たち「地底の星」が特に好き。感覚器官を変容させられる「視野」の斬新さも忘れ難いし『闇の左手』へと派生する「冬の王」惑星<冬>ゲゼンという響きの懐かしさも。精神的思想が絡むと途端に理解不能になったけれど読み終えられて嬉しい。よかった。2025/01/31