感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ニミッツクラス
29
88年(昭和63年)の460円の青背二刷。二刷は新装版で77年の初版より100円高い。その後06年に新装新版(800円)、13年には新装トール版(840円)が出た。伊藤典夫氏編訳の10編収録で本邦オリジナル。巻頭作「九月は…」は9月が30日まであった時代(季節の行事や自然の移ろいを体感できた時代の意)を用済みの旧型教師ロボット(現在はオンライン授業)の言動を軸に抒情的に描写。表題作は1600kmもの大きさの宇宙浮遊生物の話で、その体内で生活する人間への便宜のためにボッチを強いられるさまを描写。★★★★☆☆2025/10/16
SORA
12
季節のような人物描写が面白い。印象に残ったのは「リトル・ドッグ・ゴーン」。ヘイズの身勝手さに腹立たしく、ドッゴーンによって本当に大切なものに気づくのは情けない気もするが、人間らしいとも言える。2015/05/03
AR読書記録
7
SFっていうか、ファンタジー枠に入れて欲しいわね。SF設定がおとぎ話とか神話とかと並んで取り入れられている。SF的未来像としては技術的科学的裏付けをそう感じるものでなくて、ファンタジック・ロマンチックな雰囲気を醸成するための設定っていうか。むろんそれはそれでよく、それがヤングっぽさなんだろうけど、SFは設定やガジェットに重きを置いて読みたい、というのが自分の嗜好であることはよくわかった。ヤングは、あとは『たんぽぽ娘』を読んで、そこまでかな。2017/10/08
KANEO
7
かなりファンタジーチックなSF短編集。中編とも言える『ジョナサンと宇宙くじら』『リトル・ドッグ・ゴーン』『いかなる海の祠に』の3作が良かった。中でも『リトル~』がマイベスト。主人公が自分の愚かさと真の愛に気付き、愛する者たちとやりなおす決心をするラストが切なくも爽やかな犬SFの感動作。『いかなる~』は海洋神話ホラー的な展開で物語に引き込まれます。豊かな舞台発想に感嘆させられる表題作。 どれも叙情的で素晴らしい作品ばかりじゃないか。著者の作品がもっと読みたくなりました。2013/01/09
アーチャー
7
同じSFでもこの作品集は”サイエンス・フィクション”ではなく、サイエンス・ファンタジーです。そこがハードなSFファンには物足りなさを感じるかもしれませんが、表題作や「九月は三十日あった」「いかなる海の洞(ほこら)に」といった作品に流れる”せつなさ”は、初めてSF小説を読んだときめきを思い出させてくれました。2011/11/29
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- 和書
- 遼東(リャオトン)半島




