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出版社内容情報
26歳のユ・ジンは目覚めると、自宅で母の死体を発見した。時々記
憶障害が起こる彼は前夜のことを何も覚えていない。事件、そして
自分と家族の間の真実を明らかにするため、3日間の激しい捜索が
始まる。心と記憶の謎、母子の関係を探求するサイコ・スリラー!
内容説明
25歳の法学部生ユジンはその朝血の匂いで目覚めた。すぐに外泊中の義兄から電話があり「夜中に母のジウォンから着信があったようだが、家の様子は大丈夫か?」と尋ねられる。自分が全身血だらけなのに気づいたユジンは床の赤い足跡をたどり、階段の下に広がる血の池に母の死体を発見する…時々発作で記憶障害が起きる彼には前夜の記憶がない。母が自分の名前を呼ぶ声だけはかすかに覚えているが…母を殺したのは自分なのか?己の記憶をたどり真実を探る緊迫の三日間。韓国ベストセラー作家のサイコミステリ。
著者等紹介
丁柚井[チョンユジョン]
韓国、全羅南道咸平生まれ。2000年にデビュー以来ベストセラー作家となる。2007年、第1回世界青少年文学賞を、2009年、第5回世界文学賞を受賞。代表作『七年の夜』は、韓国で55万部を売り上げた
姜芳華[カンバンファ]
岡山県倉敷市生、岡山商科大学法経学部法律学科、韓国梨花女子大学通訳翻訳大学院卒、高麗大学文芸創作科博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
62
「信用できない語り手」によるサイコスリラーというとありがちなテーマだが、ディテールの細密さと描写力によって、この手のジャンルでは類い稀な文学性を備えた作品になっている。要所での表現の上手さに舌を巻くこともあり、作者は韓国文学界でも一流の書き手であることが窺える。母子家庭となった原因という核の一つである謎を遠巻きにしながら、主軸となる惨劇の処理が語られる構造。ページを捲るにつれてじわりじわりと顔を見せる「悪の芽」にはホラーといよりも観察日記のような面白さがあった。端正な文芸作品。2019/02/06
おたま
60
韓国のミステリーを初めて読んだ。ハン・ユジンはある朝目覚めると、自分が血まみれになっており、ベッドから部屋から、いたるとろに血痕がみられる。何故こうなったのか、記憶が欠落している。家の中を調べるに従って、次第次第に昨日起こったことを思い出していくのだが・・・。これはミステリーというよりもサイコサスペンス。しかも、第三者の観点からではなく、サイコパス自身の内部から見られた世界の有様が語られていく。作者自身は誰の中にもある「悪」を描こうとしたようだが、異常な緊迫感とスリリングな展開にひっぱられて読んでしまう。2023/11/10
りつこ
46
ポケミスで韓国作家でこのタイトル。いったいどんな話なのかと思ったら…。ある朝、血のにおいで目が覚め、いつもの発作が起きたのか?と思うユジン。昨夜の記憶がないまま部屋を出るとそこには血塗れの母の死体。真実を知りたいと母の日記を読み自分の行動を思い出していくうちに…。読んでいて「少年は残酷な弓を射る」を思い出した。あれは母親の語りでこちらは本人。あのときは本人の視点からの物語を読んでその意味を知りたいと思ったが本人にも分からないのかもしれない。しかし生まれてきた時から邪悪などということがあるのだろうか。2019/05/11
あさうみ
46
韓国スリラー。記憶障害を起こす青年が母親の他殺死体を見つけ戸惑う不気味な序章の描写から、変貌していく展開は圧巻。もしかしたら危険因子を持とうとも無害に過ごせたかもしれない。「予防接種をうつつもりで読んで欲しい」との作者の意図が解る。イヤミスとは言いきれない奇妙な味です。2019/02/11
pohcho
44
その朝、血の匂いで目覚めた主人公は、自分が全身血だらけなのに気づき、家の中に母の死体を発見する。持病の発作で記憶障害がある彼には前夜の記憶がなく。母を殺したのは自分なのか?十六年前に亡くなった父と兄、主人公の病気、血のつながらない兄、家の近くで起きた別の殺人など、多くの謎を抱えつつ、物語は過去と現在を行ったりきたりしながら進み、やがて思いもよらない結末へ。途中からだんだん違和感を覚えるけどまさかそんな話とは思わず。小説の内容や作者について前情報なしに読んだので、驚愕の結末に震えた。2019/03/16