- ホーム
- > 和書
- > 新書・選書
- > ノベルス
- > ハヤカワポケットミステリー
内容説明
戦地から戻ったばかりの青年リチャードは、酒場で若い未亡人ドミニークが男にからまれているのを目撃し、なりゆきから男を叩きのめして彼女を助け出した。だが、男は地元のギャングの顔役だった。報復を恐れたリチャードとドミニークは、町を離れて夜行列車で逃亡の旅に出るが…恋人たちの逃避行の顛末を描く表題作ほか、映画撮影中の悲劇、夜の空港での偶然の出会い、ホテルの部屋の怪事、異星生命からの謎めいた通信など、ミステリ、サスペンス、ロマンスからSF風味まで。87分署シリーズの巨匠がその妙技を披露する多彩な作品七篇を収録。
著者等紹介
マクベイン,エド[マクベイン,エド][McBain,Ed]
1926年生まれ。54年にエヴァン・ハンター名義の『暴力教室』で、また56年には『警官嫌い』に始まる87分署シリーズで名声を獲得。作家生活は五十年におよび、世界的な人気を誇っている
羽地和世[ハネジカズヨ]
立教大学文学部史学科卒。英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
59
エド・マクベインと本名であるエヴァン・ハンター名義で書かれた短篇集。撮影中の事故死の真相を探ろうとする質問者と監督の会話からなる「インタヴュー」は、質問者の執拗なまでの問いかけに監督が苛立ち、少しずつ分かってくることもあるのだがすべてが明らかにはならず、真相が気になって仕方なくなる。「相乗り」は、人種間の齟齬を描いた作品。最終的に主人公の方が悪かったような印象をうけてしまうのが、どうにも気になった。ミステリ仕立ての表題作「逃げる」は、女の身勝手さがなんとも言えない。2023/09/25
panam1927
14
★★★☆☆2017/04/23
キャッスルロック
8
87分署シリーズのエド・マクベインにる表題作他全7篇を収録した短編集。これまでに一番読んだ海外の作家はマクベインなので、個人的にも本書も楽しみにしていたのだが、あくまでもマクベインだから、ポケミスで発売したという感じの作品がほとんどで正直読みごたえがない。もしマクベインの短編集を読むなら本書よりもカート・キャノン名義の「酔いどれ探偵街を行く」をオススメしますし、ミステリーファンならばやはり87分署シリーズを読んでから本書を読んだほうが良いと思いますよ。 2020/02/17
ワッピー
8
エド・マクベイン=エヴァン・ハンターの初期短編集。撮影現場で何が起こったか?「インタビュー」、飛行機欠航の一夜「すれちがい」、どうしても抜け出せない轍「相乗り」、リゾートの謎のカップル「隣室のふたり」、目覚めのとき「被害者」、謎の生命体からのメッセージ「知ッテイル」、ギャングからの逃避行「逃げる」の7編を収録。どれも滑らかなのど越しの作品で、このうちの3つは出来が悪くて未発表だったなんて、言わなくてもいいことを…と思う前書きがいちばんおもしろかったというのは反則かな?2018/06/22
ヴァン
3
エド・マクベインは『87分署』シリーズで知られている。私の親の世代だと『87分署』を原作にしたアメリカテレビドラマを熱心に視聴していた。この本はそんなマクベインの短編を七編収録している。巻頭の『インタビュー』は映画監督が語る事故の概要から不可解な事実が浮かび上がる。『相乗り』はひょんなことから毎朝の通勤のタクシーを白人と相乗りすることになってしまった黒人男性の心のストレスの波紋を描く。表題作『逃げる』はギャングから逃避行するカップルのシニカルな顛末が見事。どの作品も映像を喚起するような優れた描写力である。