感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
秋 眉雄
20
『NHKこころの時代~宗教・人生~ 旧約聖書「コヘレトの言葉」』の副読本です。もちろん、番組を観ているほうが良いでしょうけども、観ていなくても全然大丈夫です。『「コヘレトの言葉」とは何か』『人生のはかなさを知る』『すべての出来事に時がある』『幸せはどこにあるか』『今をみつめる』『それでも種をまく』。特別寄稿『涙の聖典/若松英輔』。2021/03/02
紫羊
15
旧約聖書の中でコヘレトの言葉が一番好きです。知らずに読めば仏典かと思ってしまいそう。このテキストは最新の聖書協会共同訳が使われています。以前の訳とは受ける印象が少し異なります。それぞれの味わいがあります。コヘレトは人生は虚しい、空であると繰り返しますが、だからこそ日々の営みを楽しみ味わい尽くせとも語りかけます。不思議なことに、その教えが素直に心に響くのです。2021/09/06
かふ
15
2018年に出版された「聖書協会協同訳」で新たな訳となって、『コヘレトの言葉(今までは『伝道の書』)』 「空の空 空の空、一切は空である」と訳された。仏教の言葉のような聖書の言葉。『ヨブ記』に連なる知恵の書。旧約聖書の分類も載っていて興味深い。その無常観は仏教みたいだが、コレヘトはエルサレムの王で手に入れられるものすべて手に入れたが「空」を知る。ヘブライ語「へベル」は「空」とも訳せるが「束の間」という儚い人生。クロノスの「時間」ではなく、カイロスの「時」は神の「時」、出会いの「時」、一瞬で永遠の「時」。2021/04/09
Timothy
9
番組未視聴。私がコヘレト書と出会った時、まだ協会共同訳はなく新共同訳の覇権だったが、先生はプロテスタントで口語訳を読む人だった。それで「なんという空しさ」を批判しながら引き合いに出された「空の空、空の空、一切は空である」というフレーズが強烈に印象に残った。しかし本書では「空しさ」改め「空」をさらに原語の「ヘベル」で読みかえる。小友によるとこれは「束の間」性を表し、コヘレトの主意は「人生は空しい」ではなく「短く儚いからこそ意味がある」というところにあり、よって厭世、虚無、悲観、享楽主義のいずれでもない。2022/04/18
Moeko Matsuda
7
興味深かった。初めて聖書のこの書を読んだ時、まさに仏教と同じような考え方があるのだなと思ったものだ。ヨブ記や箴言、黙示思想など他の部分にも触れながら、コヘレトの真に伝えようとしていること、あるいは神の意志について解説されているのが大変わかりやすい。他の著作も是非読みたくなった。「コヘレトの言葉」は、私が持っている聖書のうちの一冊では「伝道者の書」とされている。そのあたりの違いがどこから出てきたのかも興味がある。私はキリスト者ではないが、その時々を大切に生きたいと心から感じた。いつまでもとっておきたい一冊。2022/02/06
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