出版社内容情報
文学は私たちの心にどう入り込み、個人の生活や社会に影響を与えるのか。芥川賞作家である著者が欧米、アフリカ、中東、アジアの選りすぐりの作品を紹介。書き手がどのような土地に根ざし、どういう言語で作品を生み出したのか、それが読み手にどう作用するのかを探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
aika
55
ラジオ番組の40分間、作家・小野正嗣さんの温かい声で語られた現代文学の世界の静かな感動で、再びまっさらな気持ちになれました。生きていくうえで抱える様々な悲しみを、物語が引き受けてくれる。その分、自分の心の中にできた空間が、今度は物語の世界で起こる喜びや悲しみに満たされていく。そして、実際の自分の人生と少し距離を置いて、誰かの悲しみや幸せを想像して、また生きていくことができる。これまで知らず知らずのうちに自分自身も文学を歓待し、歓待されることを繰り返していていたことに、小野さんの言葉で気づかされました。2019/05/01
かふ
12
「100分de名著大江健三郎 『燃えあがる緑の木』」の解説が面白かったのでテキストだけ買ってあったので読んでみた。半分ぐらいしか読んでなかったがこれから読書する参考になる。マリー・ンディアイ『三人の逞しい女』は早速注文して、マリリン・ロビンソン『ハウスキーピング』も読みたい本に追加。それとカズオ・イシグロ『浮世の画家』も未読だったけど非常に興味が持てた。好きな作家ゼーバルト『移民たち』やハン・ガン『菜食主義者』の解説も引用も良かった。「『引用もまた歓待のひとつのあり方だ』クロード・ムシャール」2019/11/09
ケイトKATE
8
"僕たちは「本を読む」という言葉を使います。しかし、ときどき「本に読まれている」あるいは「本が僕たちを読んでいる」と感じられることはないでしょうか。ある本を手に取って読み出すと、そこで自分がそのとき抱えている悩みや苦しみを軽減してくれるような言葉、直面する難局から抜け出る手掛かりになる言葉に思いかけず出会うことがあります。そのとき、僕らは自分のことを理解してくれる「真の友」に邂逅したような実感を得ます”と著者は書いている。私は読書することの喜びを的確に表現している言葉はないと思った。2019/03/08
LWF
4
作家で文学者の小野正嗣がさまざまな作品を通して文学の魅力を語る。文学論といっても抽象的なタームはほとんど登場しない。本文の引用を通してそこから得られる感触を語ってくれるため、非常にわかりやすいし、自分の感じ方にも影響を受けた。題材となる作品が国内外の現代世界文学というのも特徴で、きっと新しい読書の道しるべにもなるだろう。 文学はどんな人でも温かく受け入れてくれる場所だという考えは、まさに小野さんの優しく寄り添うような作品の源泉になっている。 最終回の読者投稿を除いて放送はほぼテキスト通り。未聴の方もぜひ。2019/07/31
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