出版社内容情報
誰もが一度は耳にしたことがある「歴史的事件」と、誰もが疑問を抱く一つの「問い」を軸に、各国史の第一人者が過去と現在をつないで未来を見通すシリーズ第7弾。世界一の超大国を動かす原動力は何か。「真夜中の疾駆」から「星条旗の誕生」へ。独立戦争の端緒を開いた戦いにその原点を見る。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ピオリーヌ
12
2024年の刊。アメリカでは知られているが日本をはじめ外国では殆ど知られていないベッツィ・ロス、ポール・リヴィアの二人に焦点を当てた内容。この二人はアメリカの「建国神話」の中枢に位置しており、リヴィアは独立戦争の始まりを告げたレキシントン・コンコードの戦いで真夜中に馬で疾駆して情報を知らせた事で名を馳せ、ベッツィは最初の星条旗を作った人物とされる。両者ともその評価は時代とともに大きく揺れ動いてきたが、アイコンとして依然現代も生き続けている。 2025/05/15
乱読家 護る会支持!
6
⚫︎建国から二百五十年を迎える「人工国家アメリカ」。建国後、国民化を進めるにあたり、二つの神話が創られた。ポール・リヴィアの「真夜中の疾駆」とベッツィ・ロスの「星条雄誕生の物語」。 ⚫︎ポール・リヴィアの「真夜中の疾駆」は、レキシントン・コンコードの戦いにおいて、英国軍の進軍ルートを仲間たちに知らせるために、ポール・リヴィアが真夜中に馬を走らせた物語。 ⚫︎最初の星条旗を作ったと言われているペッツイ・ロスだが、これも愛国心を鼓舞する作り話。。。。お隣の国に比べれば、アメリカの作り話は全く問題ないですね。2024/12/19
たかぴ
6
ベッツィ・ロスさんとポール・リヴィアさんの2人を私は知らなかった。18世紀だから完全な伝説の中に埋もれずに実際の記録があちこちに残っているのか。多分、アイコンとしての2人の存在は現在のアメリカ人にとっては身近なものなのだろう。2024/10/27
バルジ
4
アメリカ独立革命の"英雄"たるポール・リヴィア、ベッツィ・ロスの「語られ方」を論ずる良書。アメリカ独立革命の流れを概略しながらも、この"英雄"達の語られ方と時代の要請との関係を語る。坂本多加雄の言う国家の「来歴」との関係で本書を読むと興味深い事実が見えてくる。それは社会統合の一機能としてアメリカ独立革命の「来歴」がもはや統合機能を喪失し始めているという点である。否応なく人種主義的な側面を帯びざるを得ないこの「来歴」はアメリカが如何にして自己を「語る」のか、深刻な問いを発していると言えるであろう。2024/11/10
フクロウ
3
ポール・リヴィアの真夜中の疾駆、ベッツィ・ロスの星条旗の考案。アメリカ建国期を彩るエピソードはしかし、おそらく史実ではなく神話ないし伝説、つまりはフィクションである。このような神話ないし伝説は、後世の時代時代において、その思潮のもとで、利用される。2025/03/15