感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
35
テーマが主観的で漠然としている番組製作者の問題であり、論者の力量の方に批判が向いてしまうのは、少々気の毒ではある。論者の「幸せ」の語りに、特段、紹介されている本に言及せずとも言えることばかりで、かえって安っぽくみえる。アダム・スミス『国富論』だけではなく『道徳感情論』に言及されているのは、経済が成立する前提として共感性が必要だという理論によるものだ。経済を現在の資本主義のフェティシズムとしてみるのではなく、見方を転倒させてみるために「幸せ」をあえて強調してみるという様に発展的に理解したい。2022/11/15
壱萬参仟縁
24
左頁欄外に名言がさりげなく付いているのもよい。つらいと思わなければつらくはない。満足していなければ幸福は訪れない(ボエティウス23頁)。ボエティウスは慶應通信のテキストで勉強した覚えがあった。今思うのは、母親は嫁いでから苦労ばかりしてきたのではなかったか? という思いに駆られることがある。現代仏壇を買って、墓石も作ることにしたが、それで我々の行動をあの世からどう思っているかと思う。本文よりも、◉印の欄外の名言に目が行ってしまったのは私だけだろうか? 2015/10/25
ロビン
17
kindleunlimitedにて一読。文学(井原西鶴)、経済学(アダム・スミス)、哲学(ヘーゲル)、心理学(フロイト)の4分野の名著から「幸せ」について考えようというコンセプトの一冊。扱う名著の内容がコンパクトに紹介されており、どれも未読だったので読書案内としても有益であった。本書でも複数の著者が書いていることだが、個人的な経験からも色々な名著を読んできた結果としても思うのが「人は人との関係性の中で幸福になる」ということだ。他者との関わりの中で承認欲求と自由の中庸のバランスをとっていくことが大事と思う。2019/11/18
大先生
12
井原西鶴もヘーゲルもフロイトもいいんですが、アダム・スミスは必読。「経済学の生みの親」であるアダム・スミスの『国富論』は、「人間の営みとしての経済活動」が重要であり、『道徳感情論』は、「共感(シンパシー)」こそが人間の営みの根幹かつ心の平安と幸せの源泉だとしています。決して新自由主義的な発想じゃないんですね。人の痛みがわからない者たちが経済活動を営むとお互いを不幸にする。共食い、命の奪い合いをする。人の痛みがわかる者は、決して相手を不幸にしない。人の痛みがわかることこそ、最高の幸せの基盤なのです。2025/08/24
崩紫サロメ
12
井原西鶴『好色一代男/一代女』アダム・スミス『国富論』ヘーゲル『精神現象学』フロイト『精神分析入門』から「幸せ」について考える。それぞれ文学・経済学・哲学・心理学となるが、経済という視点が面白い。スミスが説いたのが「人間の営みとしての経済活動」であり、「お金が経済を作っているのではなく、経済は人間の営みであり、他者との共感がそこに存在しなければ経済は成立しない」という『国富論』の読み方は新鮮だった。2025/08/18
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