NHKテキスト 100分de名著 2022年2月
日蓮の手紙

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  • サイズ A5判/ページ数 103p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784142231362
  • NDC分類 028
  • Cコード C9415

出版社内容情報

時に激しく、時に優しく。多彩な手紙から浮かび上がる日蓮の素顔とは

数々の迫害に耐えつつ、「法華経の行者」としての生涯を貫いた日蓮。他宗や幕府を盛んに批判したため、激烈なイメージが付きまとうが、信徒たちに送った手紙には、家族を失った人の悲しみに寄り添う深い思いやりや、病と闘う人への励まし、人間関係や職場でトラブルに直面したときの対処法など、人間味あふれる実像がにじみ出ている。また、女性信徒の悩みに答える手紙も多く、月経を不浄なものと見なす価値観に異を唱えたり、女人成仏についての思想を語るなど、当時としてはたいへん先進的な女性観も披露している。相手の立場や性格を考慮しながら具体的に書き分けられた多様な手紙を手がかりに、日蓮の生涯と信念を読み解く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

92
鎌倉時代初期は、末法思想と共に民衆の救済のための新仏教が登場した。法然らの浄土信仰は、死後に阿弥陀仏のいる極楽浄土に行けると説いた。それに対し日蓮は、仏教の原点である法華経を根本とした正しい教えが興隆すべきと説いた。現世を肯定し、生きる活動が仏の道だと言い、一日でも長く生きることの有難さを訴えた。「法、妙なるが故に人貴し。人、貴きが故に所尊し」立正安国とは、行い良ければ社会も安泰というほどの意味なのだろう。今回の番組では、法難に遭っても、明るく力強く弱者にやさしい人柄を感じさせる手紙の引用が印象に残った。2022/03/06

to boy

29
今まで日蓮に抱いていた印象が間違いであったと反省。幕府に意見したり、他派を攻撃したりしたのでとても熱烈、厳しい人と思っていたが彼の手紙を読むことでとてもやさしい庶民よりの人だとみなおしました。日蓮宗は女性を蔑視せず、身分や性別にこだわらず誰にでも等しく救いの手を差し伸べていた事が当時としては画期的な思想だったと思う。今ここに生きている我々は何故死後の別世界に浄土を求める必要があるのか、今この瞬間が大切だと言う生き方が現代的だと思えた。→続く2022/03/04

歩月るな

15
死と向き合うというのはいかんともしがたいもので、少なからず気持ちに打撃を受ける。そのうち、その時は来るかもしれないけれど、全然、現在を大切には出来ていないという自覚はある。無理に乗り越える必要もないし、抱えていくしかなんだけれど、ふと気付いた時には、思い出してしまう。強がっているわけではないけれど、こういう心のスキマに入りこんでくるのが巧い連中と言うのが居て、それがまあそういう人たちなんだけれど、でもどんな様態であれ、やはり言葉ありきで、それがずっと寄り添ってくれるんだなぁと。そういう人がいたら良いよね。2022/06/29

ヤドンの井戸

11
信徒に対する日蓮の励ましは、磨き抜かれた仏法の道理に立脚しているが、かと言って世間の道理を軽んじることなく、相手の性格や置かれた状況に応じて自由自在に知恵を発揮して生まれた言葉に拠っていると感じた。後世に多大な影響をあたえた教えの宗祖でありつつ、その等身大の姿からかけ離れることなく、法華経に命を捧げた「人間・日蓮」の生涯がコンパクトにまとめられた良書。2022/02/04

アーサー

9
初読◆著者は仏教思想研究家、作家の植木雅俊さん。物理学科出身で理学の修士号を持つ。後に人文科学の博士号取得◆印象に残った言葉:「過去を追わざれ。未来を願わざれ。およそ過ぎ去ったものは、すでに捨てられたのである。また未来は未だ到達していない。(中略)ただ今日まさに為すべきことを熱心になせ。」(原始仏典の『マッジマニカーヤ』より。中村元訳)◆上は日蓮の言葉ではない。死後の世界よりも現世を、過去や未来よりも今を重視する原始仏教(や法華経)の考え方に共感を覚えた。著者の(異色の?)経歴にも惹かれる。2022/04/12

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