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産巣日(むすび)の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アルピニア
61
若松英輔さんの解説と知り、購読、聴講した。「生きがいについて」は、大学時代に読んだが、あれから私自身も年齢と経験を重ねたこと、さらに若松さんの丁寧な解説によって、文の奥底に込められているものを知ることができ、深く心に刺さる読書となった。悲しみの体験は他人の悲しみや苦しみに共鳴して鳴り出す弦となる。生きがいは、他者とのつながりの中に見出される。変革体験とは、「自分は生かされている」ということの発見。若松さんの、「神谷さんはハンセン病者の心の痛みを『わかったつもりにならなかった』という言葉が心に残った。2018/05/31
しょうじ@創作「熾火」執筆中。
34
【2回目】6/8に予定している『生きがいについて』の読書会の参考にと思って再読。Kindleでマーキングした行をピックアップし、ノートにしながら摘読。キーワードは、「つながる」「見出す」「待つ」の3つではなかろうか。生かされているものとして、自然と歴史に「つながる」。悲しみを導きの光として、社会の中で疎外され、うめいている人を「見出す」、また、自分の中から既にあったものとしての生きがいを「見出す」。そのためにも、「待つ」ことが重要と、若松さんが述べている。神谷さんの原文にも当たらなくては。2018/06/06
しょうじ@創作「熾火」執筆中。
34
【1回目】もはや1人の若松ファンとして刊行を待ちわびていたものの、読了には時間がかかった。長寿番組・100分de名著5月度に取り上げられる『生きがいについて』の解説本である。読んでいるうちに、どこからが原著者である神谷の思想で、どこからが若松さんの思想であるのかがわからないくらいに「一体化」して迫ってくる。石牟礼道子にとって水俣病があったように、神谷にとってハンセン病があったのかもしれない!と思って読んでいたら、何のことはない、若松さんがご指摘されていた。もちろん、原著も読む予定でいる。オススメの1冊。2018/05/11
かず
24
NHK『100分de名著』アナウンサー 島津有理子さんが医師へと転身するきっかけとなった本、とのことに関心を持ち、放送より4年を経過した今、読了した。私自身は、島津さんが得た程の大きな感動は無かった。しかしながら、「生きがいは、苦悩や失敗等のネガティブな思いから生まれる」という主張には大きく頷ける。私自身も、齢50歳となるまでに様々なことがあった。自己喪失にも等しい苦悩もあったが、ある時大転換を遂げたのは、神谷氏同様に宗教を学んだからであろう。今は60歳までに弁護士になることを夢見て精進している所である。2022/09/04
呼戯人
23
若松英輔による神谷美恵子の「生きがいについて」の読解。30年ほどまえ、初めて神谷の「生きがいについて」を読んだときの鮮烈な感動を思い出す。若い時、人生の空虚と無意味に悩んでいた頃、この本と出会い深い感動と打ち震えるような慈愛を感じたことを思い出した。長島愛生園のハンセン氏病患者たちの精神衛生を担当しながら、絶望と苦悩、悲哀と無力に浸された魂を導く超越的な光の存在を発見し、神谷もこの光に導かれて自分の使命感を自覚してゆく過程が描かれる。絶望と悲哀の底から使命感に満ちた生きがいが生み出されてくる変革体験を描く2018/05/01
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