NHK出版新書<br> 宅地崩壊―なぜ都市で土砂災害が起こるのか

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NHK出版新書
宅地崩壊―なぜ都市で土砂災害が起こるのか

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  • サイズ 新書判/ページ数 272p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784140885826
  • NDC分類 511.34
  • Cコード C0236

出版社内容情報

戦後日本の宅地開発に伴う社会・経済史的背景を辿り、他人事と看過できない現代日本の宅地の危機を斜面防災の第一人者が解き明かす!

内容説明

想定外の豪雨や地震で起こる、地すべりや土砂崩れ。私たちは、都市域での宅地被害を、防ぎようのない自然災害だと思いがちだ。しかし、戦後の「持ち家政策」に基づく宅地開発の背景と、その手法を、丹念な災害調査と併せて辿ると、隠れていた真実が見えてくる―。決して「他人事」と看過できない、いま、日本の宅地が抱える危機を、斜面防災の第一人者が浮き彫りにする!

目次

第1章 宅地崩壊の時代(崩れる宅地;郊外の誕生と土石流・崖崩れ)
第2章 遅れてきた公害(宅地崩壊の萌芽;相次ぐ大地震による被害)
第3章 盛土のミカタ―異常気象と崩壊のメカニズム(異常気象と盛土;地下で何が起きているのか―宅地崩壊のメカニズム)
第4章 ゆらぐ「持ち家社会」―宅地崩壊の背景(「持ち家社会」の形成と副産物;「持ち家社会」の諸問題)
第5章 わが家の生存戦略(「未災」ということ;輝く斜面防災都市)

著者等紹介

釜井俊孝[カマイトシタカ]
1957年、東京都生まれ。京都大学防災研究所教授、斜面災害研究センター長。79年、筑波大学(地球科学専攻)卒業後、民間地盤調査会社に勤務しつつ、86年、日本大学大学院(地盤工学専攻)修了。その後、通商産業省工業技術院・地質調査所(現・産業技術総合研究所)研究官・主任研究官、日本大学理工学部土木工学科助手・専任講師・助教授を経て、2000年、京都大学助教授、07年から現職。博士(工学)。複雑な「地すべり」現象を、理学(地質学)と工学(地盤工学)の二つの視点から研究。さらに、「歴史」を軸に開発と災害の関係を見直す、「防災考古学」を提唱(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

aochama

6
再読了。能登半島地震を機に再読。戦前の全否定、持ち家政策、高度成長期のミスリード、土地偏重等々が絡み合って生まれた谷埋め盛土の造成。地学の軽視による危機管理の欠如が相まって現在の重大なリスクとなり、来るべき首都直下地震でさらに顕在化するとします。しかも多くのハザードマップは不動産業界への忖度か正確に情報を伝えていない。このようななかでどう生存戦略するか、とても考えさせられます。身近な危機に気付かせてくれる良書でした。2024/02/04

おおかみ

6
悲劇をどれだけ目にしただろう。毎年どこかで土砂災害が起き、かけがえのない命や財産が失われていく。ともすれば異常気象の前に人の営みは無力で、減災に努めるのがせいぜいのところだと思いがちだが、ではなぜ新たに開発された安全なはずの土地で未曾有の災害が起こるのか。土砂災害の第一人者である著者は、戦後日本で推し進められた宅地開発に原因を見出す。/本書の指摘はもっともだと思うが、果たして抜け出す術はあるのだろうか。自然災害とはまた異なる種類の絶望感を抱く。2019/06/03

mdoguti

3
土質力学の盲点を、実際の災害事例に照らして指摘。『土質力学が、時代の流れに取り残されつつある』ことを痛感した。設計に直接は使えない地学(の中の地質学)の知識は、土木の世界では軽んじられる傾向にある。土質力学への地学的知見の反映が、速やかになされてほしいと思った。2021/01/25

aochama

3
最近は宅地での土砂災害が目立ちますが、なぜなのかを宅地被害が大きかった宮城県沖地震以降の地震や水害を丁寧に分析。盛土に着目します。そして、マイホームを取得するという風潮、ハウスメーカー、デベロッパーという日本独特のビジネスモデルなどが複雑に影響した結果とします。一方で。防災減災の必須知識として地学教育の必要性も訴えます。何れの主張も当を得ており、賛同できました。宅地造成の歴史的経緯のくだりは、とても勉強になりました。目先の欲にかられた結果とは嘆かわしい。2019/10/12

乱読家 護る会支持!

3
平野の土地が無くなってくると、斜面のある郊外に家を建てる予定になる。斜面宅地は「盛土」や「人口崖」があり、豪雨により土砂災害(盛土の地すべりなど)を引き起こす。天災でもあり人災でもある。 そもそも危ないところに家を建てているのだし、地下地面の構造まで熟知して宅地を購入される消費者はほとんどいない。。。 我が家も側に川があり、河原に盛り土をして建てたマンション。いつかは、、、、やばそう。2019/09/12

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