内容説明
消費税増税への根強い抵抗感、自転車操業で積み増す赤字国債、二〇歳未満と七〇歳以上で一億円超の受益負担格差がある年金…。財政危機が叫ばれて久しいが、このままだとどうなってしまうのか。問題の本質はどこにあるのか。元財務官僚の経済学者が、世に氾濫する「誤解」を正し、持続的で公正な財政の未来を問う。
目次
序章 迫り来る「財政破綻」
第1章 財政の現状はどうなっているのか
第2章 経済成長だけで財政再建はムリ
第3章 歳出削減はなぜ進まないのか
第4章 このままだと「消費税三〇%」も避けられない
第5章 「異次元緩和」の巨大リスク
第6章 「国債安全論」を撃つ
第7章 年金は「一〇〇年安心」ではない
第8章 「世代間格差」を解消せよ
終章 「民主主義」の困難を乗り越えるために
著者等紹介
小黒一正[オグロカズマサ]
1974年東京都生まれ。法政大学経済学部准教授。専門は公共経済学。京都大学理学部卒業後、一橋大学経済学研究科博士課程修了。大蔵省(現財務省)入省後、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2013年4月より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
23
日本の財政版「不都合な真実」です。黒田日銀による異次元緩和の危険性や政府による年金試算のまやかし、経済成長だけでの財政再建のウソ・・・。見たくないものをしっかり見つめて自己防衛を図る以外に、数年後にも訪れるかもしれない破綻を乗り越える術は無さそうです。残念ではありますが。2015/02/22
ダンボー1号
14
薄々「詰んでる」と思っていた財政問題。何故ここまでなったか今後の着地点知りたくて読んだが想った以上に厳しい。人口ボーナスもなく増税しながらプラス成長は無理でマイナス幅抑えれば充分でしょう。防衛・公共事業も他国と比べると充分抑えられていた。損したくないという文句の声の大きさに政局が引っ張られ、赤字も増える。損を受け入れましょう。危機感は足りないがマスコミが煽ると自己防衛として外貨に流れるのでは。投票者の中位年齢56歳(2010年)とは!確かに積極的に読みたくない本です。議員さん達はこの内容は常識なのか?2015/04/18
エドバーグ
6
この本が出版されたのが14年。すでに7年経過したが財政は無事だし 高金利インフレにもなりそうにない。なぜ???2021/03/21
sine_wave
4
まえがきにあるように、日本は沈み行くタイタニック号だというのは実感している。理解力が足りないので、すべてわかった訳ではないが、日本が財政的に危機に瀕しているとわかる。にもかかわらず他に楽観論があるのは事実。悲観論の本書を手に取ってみてよかった。自分を含めて、高齢者は覚悟を決める必要があろう。2016/02/02
はるわか
4
政府債務(国地方)約1000兆円、GDPの2倍。もっているのは①徴税権②日銀の異次元緩和③人は見たいものしか見ないため。歳入96兆円のうち税収50兆円、公債(つまり借金)41兆円(2014年度)。一般会計に特別会計を加えた国の実質的予算規模は220~240兆円。歳出の4割が国債償還費、3割を社会保障費が占め、公共事業はわずか3%。削れるムダは少ない。日本は低福祉超低負担の国。消費税10%でも止血剤程度。超高齢化する民主主義、若い世代への過度な負担押付け。政治介入。先送りするほど痛みは増す。破綻が現実的に。2015/05/11