内容説明
「良い理論」と「悪い理論」ってどこが違う?「実験」「観察」って何をすること?科学のあり方をきちんと判断するにはどうしたらいいの?ニュートンから相対性理論、ニュートリノまで、興味津々の事例から科学的な考え方の本質を軽妙に説き、原発や生命科学など日常に大きな影響を与えるトピックをもとに、リスクとの向き合い方を考える。速攻で「科学アタマ」をつくる究極の入門書。
目次
第1部 科学的に考えるってどういうこと?(「理論」と「事実」はどう違うの?;「より良い仮説/理論」って何だろう?;「説明する」ってどういうこと?;理論や仮説はどのようにして立てられるの?どのようにして確かめられるの?;仮説を検証するためには、どういう実験・観察をしたらいいの?;なぜ実験はコントロールされていなければいけないの?)
第2部 デキル市民の科学リテラシー―被曝リスクから考える(科学者でない私がなぜ科学リテラシーを学ばなければならないの?;「市民の科学リテラシー」って具体的にはどういうこと?;「市民」って誰のこと?)
著者等紹介
戸田山和久[トダヤマカズヒサ]
1958年、東京都生まれ。1989年、東京大学大学院人文科学研究科修了。専攻は科学哲学。現在、名古屋大学情報科学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
78
この科学哲学者の名のみを信用して内容を知らずに借りる。科学リテラシーを分かりやすく解説。科学の正しさの意味や疑似科学との違いなどを説く。原発事故後の一般人の取り組みなどの話題など、自分が望んでいた内容と違うのだが科学についての論議を一から知りたい人向けのようだ。複雑な科学の話題をわからないからと、科学者に丸投げすることはやめようという、まっとうな内容。面白く思ったのは、科学の情報を分かりやすく伝えることは当たり前であるが、分からないことを分からないままに伝えることは一般的に苦手であると著者は言う。2018/01/28
マーム
68
科学なしには解決できないが、科学だけでは解決できないトランス・サイエンス問題では、科学リテラシーが必要だと説きます。そして、その科学リテラシーの核心部分は、何を問題にしなければいけないのかという問いを立てられるかどうかであると。先の原発事故で、これまで東電と国に任せておきながらシステムが破綻したら文句を言うだけの大衆ではなく、自分がシステムの一部であり、自分たちが何かをやらないとシステムがきちんと機能しないことを知る市民にならなければならないと。これまで専門家任せの姿勢だったことを遅まきながら猛省した次第2012/07/26
mitei
45
科学のものの見方というのがわかってきた。2012/07/28
ころこ
37
著者の本なので、科学哲学が射程にあります。前半は退屈で、第5章くらいから熱を帯びてきます。対偶の4枚問題(いつも間違えます)や検証条件と反証条件。第6章では、脳科学に少し足を踏み入れます。相関関係から因果関係を導くのに、地球温暖化と二酸化炭素の増加量との関係、朝食と勉強の成績との関係には確証バイアスの罠があると警鐘を鳴らします。なるほど、おもしろがって読んでいる場合ではなく、流布している言説の多くに科学的な問題がある可能性があり、多くのひとがそのことに気づいていないということに密かに気付いてしまいました。2019/06/02
テツ
20
言葉にはできず科学では示せない何かって確かに存在するとは思うけれど、それにしてもまずは基礎的な科学的な思考がなければその何かが危険な代物に育ってしまうことが多々ある。コロナ禍の昨今、オカルト的な陰謀論を目にすることがちょくちょくあるけれど、そうしたものに対しての自己防衛として、正しい知識と思考する力が必要。科学は、科学的な思考は、最先端の科学者の方々のためだけに存在するのではなく、ぼくたち平々凡々な人間がより良く生きていくために存在している。2021/07/05