内容説明
「旧字旧仮名は手書きでのアプローチをお勧めします。漢字の字源を体得し、旧仮名遣いはあなたの文体を豊かなものにするでしょう。そして、新字新仮名が断ち切った、過去の日本語と文化との絆をよみがえらせてくれるはずです…」。旧字旧仮名遣いの“合理性”を解説、豊富な実例で「旧字力、旧仮名力」を身につけられる“遣い手”のための実用教養書。
目次
第1章 旧字力(なぜ旧字と新字があるのか?;新字のなくしたもの、旧字の問題点;人名用漢字が生みだした新字と旧字;書き換え字について;新字体のようなウソ字の氾濫―拡張新字体;平成十六年の人名用漢字追加について)
第2章 旧仮名力(旧仮名遣いと新仮名遣い;旧仮名遣いは簡単か?;字音仮名遣いについて;字音仮名遣いの法則)
著者等紹介
青木逸平[アオキイツヘイ]
編集者・校正校閲者。1957年生まれ。82年早稲田大学第一文学部卒業。出版社、編集プロダクション勤務。92年より日本語表現研究会代表
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感想・レビュー
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garyou
2
所詮昔には戻れない。徒然草には一度誤つた使ひ方をされたことばが元に戻つたといふ話が出てくる(兼好法師はこれを「ことば遣ひが乱れてゐる」と嘆いてゐる)が、それは極めてめづらしい例だらう。もう旧漢字・旧仮名には戻らないし戻れない。この本では、旧漢字部分は「読めますか」、旧仮名部分は「書けますか」と問題形式で記述してある部分があるが、「書けますか」の方は問題を先に出すべきで、回答である旧仮名で書いた文章を先に出すのはどうかと思ふ。2009/10/31
近衞孝親
1
旧(舊)字や旧(舊)仮名(假名)についての実用(實用)書。とりあへず遣つてみたいといふ人にはうつてつけの一冊。込み入つた話はあまり書いてゐない。2013/08/14
さの
1
芸術の「芸」という文字は「藝」とは全く違う「ウン」と言う文字だとか。 戦後に制定された当用漢字が如何にデタラメなものであったか、本当の漢字、日本語を知ることとなり、愕然とする。2013/02/08
kosugi
1
舊字舊假名は合理的だからと敢へて常用してゐる人をウヱブ上で見掛けるので興味があつたのだが, 舊字はともかく假名は (書中でも概ね認められてゐるが) 面倒臭すぎて試すのも億劫だし増してや常用など. 「漢字混じりの文章であれば舊假名の出現率は低ひ」と言はれても, 假名漢字變換を新假名で行なふのであれば果たして實踐する意味があるのかと. 常用陣はどのやうに環境を作つてゐるのだらう.2012/09/06
とったん
0
旧字体の方が正統とする意見に納得できるような根拠が示されていない。著者も、旧字が明治の印刷所のつくったデザインに過ぎないと書いている。また画数を減らして部首を統一したことによる学習上の利点はことさらに無視を貫いている。著者は、新字を作ったことが間違いであるという意見と、新字の作り方が悪いという二つの意見をあわせて主張していて一貫しないし、ではどうすれば良かったのか、については答えない。私見としては、煩雑な漢字は省略しておいて、義務教育が終わって余裕のある者が旧字や常用外漢字を学べば良いだけのこと。2010/10/17