内容説明
空海の美意識と密教の芸術には、いかなる関係が成り立っているのか。空海は三密と六大体大説の理論をとおして、芸術の意識を高めた。そこから生まれ出た絵画や彫刻、工芸、書蹟、建築などの作品は、すべてが曼荼羅の美意識によって貫かれている。これらの芸術を総体として眺めながら、空海思想の全容を探る。
目次
弘法大師空海の生涯
空間と書道
三密と六大体大説
密厳国土の世界
香り・生け花・音楽
高野山開創
高野山曼荼羅行
『御請来目録』にみる密教芸術
彩色・線・かたち
躍動する仏たち〔ほか〕
著者等紹介
真鍋俊照[マナベシュンショウ]
1939年、東京生まれ。高野山大学文学部卒業。東北大学大学院文学研究科修了。文学博士。画家(号、香川写人)。東北大学助手のあと、65年に奈良国立文化財研究所文部技官、70年に神奈川県立金沢文庫学芸員として転任し、30年にわたって文庫新館建設や金沢文庫古文書の重要文化財指定などの仕事に従事する。96年に同文庫長。98年より四国霊場第四番大日寺住職、99年より宝仙学園短期大学教授(造形芸術学科)、学長。現在、コロンビア大学客員教授(東アジア学部)を兼務。第39回密教学芸賞受賞
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感想・レビュー
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ともとも
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「相応しい」役割って確かにある。真鍋氏は文学博士である。画家である。金沢文庫の文庫長も務めていた。真言宗の僧侶でもある。大学教授でもあり学長の経験もある。 空海の書物に於ける文学性、曼陀羅に於ける芸術性、宗教としての実用性、これらを全うな学問として語るに当たっては、申し分なく「相応しい」御方である。 勿論、経歴が全てではない。でも内容も視点も、それだからこそ成し得たものがこの書には詰まっている。 空海に関する書物はたくさんあるが、他では触れられていないことが多く述べられている。 読めばきっと解るはず。