内容説明
ヨーロッパは「中世」に始まる。そして、この「十二世紀」が、ヨーロッパ最初の精神的自覚に、また、独自の文化の創造にまで到達した最初の時期である。上巻では、十二世紀がなぜ革新の世紀であるか、農耕民の心、都市民の心、グレゴリウス改革や修道精神や社会宗教運動、騎士道や愛をテーマに、革新の十二世紀に迫る。毎日出版文化賞受賞『西欧精神の探究~革新の十二世紀』が今よみがえる。
目次
序 十二世紀と現代
1 革新の十二世紀
2 西欧農耕民の心
3 都市民の心―自由の精神
4 グレゴリウス改革―ヨーロッパの精神的自覚
5 祈れ、そして働け―西欧の修道精神
6 正統と異端―十二世紀の社会宗教運動
7 騎士道―剣を振るうキリスト者
8 愛、この十二世紀の発明
著者等紹介
堀米庸三[ホリゴメヨウゾウ]
1913年、山形県生まれ。1937年、東京帝国大学文学部西洋史学科卒業。1956年、東京大学文学部教授。1973年、退官。1975年、逝去
木村尚三郎[キムラショウサブロウ]
1930年東京生まれ。1953年、東京大学文学部卒業。現在、東京大学名誉教授、静岡文化芸術大学学長
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感想・レビュー
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sun
5
最近、中世に興味を持ち始めて、いい本に巡り合った。12世紀に焦点をあて様々な角度から探求してる。知りたかった修道士や騎士についても詳しい。学術的ではあるが、平易に語ってくれてる。下巻が図書館にあるといいが… 期待。2014/02/18
takashi1982
0
本書では「ヨーロッパ的」だと思われている諸価値が実は古代ヨーロッパではなく、中世、しかも12世紀を基点として生まれてきたのだ、と言うことを主張する。西欧史に通じていない人には注意しなければならないが、西欧文明が歴史の最先端になったのは極端にいえば産業革命以降であり、それ以前はオスマン帝国をはじめとするアラブの文明や、あるいは中国文明の方が進んでいた。2世紀の西欧はまさにそうしたアラブ文明圏の影響を受けながら、それをそのまま受容するのではなく独自の受容をすることで、後に続く西欧独自の歴史を築くきっかけになっ2007/06/16