内容説明
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず…の有名な書き出しで始まる『方丈記』。世の中を達観した隠遁者の手による「清貧の文学」は、都の天変地異をルポルタージュのような手法で記録した「災害の書」であり、また著者自身の経験や暮らし、人生観を綴った一人語りの「自分史」でもあった。先の見えない激変の時代のいま、日本人の美学=“無常”の思想を改めて考える。
目次
はじめに 八百年目のツイート
第1章 知られざる災害文学
第2章 “負け組”長明の人生
第3章 捨ててつかんだ幸せ
第4章 不安の時代の生き方
読書案内
鴨長明略年譜
寄稿 玄侑宗久「風流」の境地へ
著者等紹介
小林一彦[コバヤシカズヒコ]
1960年栃木県生まれ。京都産業大学日本文化研究所長。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院後期博士課程単位取得。洗足学園魚津短期大学、京都産業大学文化学部教授などを経て、現職。専攻は和歌文学・中世文学。和歌文学会委員、中世文学会委員、日本文学風土学会理事、方丈記800年委員会委員。教育・研究のかたわら、古典の魅力をわかりやすく伝える講演活動にも力を入れており、古典の語り部として各地を歩く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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