内容説明
数多の名作で、昭和史そして戦後社会のあり方に立ち向かった二人の巨人、松本清張と司馬遼太郎。編集者として間近に接した著者が語る文豪の等身大の実像。
目次
二人の文豪と私
社会派推理小説の先駆者として
古代史家としての清張さん
時代小説から歴史小説へ
『坂の上の雲』から文明論へ
巨匠が対立したとき
司馬さんと昭和史
敗戦の日からの観想
清張さんと昭和史
『日本の黒い霧』をめぐって
司馬さんの漱石、清張さんの鴎外
司馬さんと戦後五十年を語る
著者等紹介
半藤一利[ハンドウカズトシ]
1930年、東京生まれ。1953年、東京大学文学部卒業。同年、文芸春秋入社。以来『週刊文春』『文芸春秋』各編集長、出版局長、専務取締役等を歴任。1993年、『漱石先生ぞな、もし』で第十二回新田次郎文学賞を受賞。1998年刊の『ノモンハンの夏』(文芸春秋)では、第七回山本七平賞を受賞した
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感想・レビュー
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禿童子
36
元はNHK教育テレビ「人間講座」の放送用テキストだからか、読みやすく分かりやすい。文藝春秋の編集者として、松本清張と司馬遼太郎という人気作家の一部始終を見届けた半藤さんならではの述懐。ある意味ですごく貴重な証言も含まれている。司馬がノモンハンを主題にした小説を構想しながら断念した事情には「そうだったのか!」と膝を打つことしきり。清張の『昭和史発掘』の二・二六事件の下りは再読する必要を感じた。例の創価学会と日本共産党の仲介をした事件については触れられていない。鳥瞰的な司馬と清張の下からの視点という対比が妙。2020/07/20
nekonekoaki
3
いづれも昭和を代表する作家。その二人には怒られたり褒められたり、担当編集者として限りなく信頼され、大いに薫陶を受けた筆者の思い出の数々が記されています。司馬さんが『竜馬がゆく』のために集めた資料はざっと1トンの重さになったこと(p109)。ほぼ毎年、連載小説を10本前後を抱え、短編小説もこなし、その上に講演旅行に海外取材とエネルギッシュに行動する清張さん(p30)。半藤さんにしか書けないですね、この本は。2002年10月25日第一刷発行。2024/08/03
レモンキッド
2
点と線を読んだのは中学生の時、五十年以上前の事. 龍馬がゆくは十九歳の頃 お二人の著作は今もおりにふれ読む この本ではお二人の資質の違いがわかって面白かった. 自分自身には司馬さんの気質が肌にあっていて、街道をゆくシリーズなど一読すれば何やら気持ちがすっきり晴れ晴れとして、誠にありがたい存在であった。年寄りの元気の元ですな2012/04/17
Uz あなぐま
0
二人の文豪と仕事をした著者の回想まとめ。それぞれが作品に向き合う姿勢、世界に対する見方が描かれていてとても興味深く読めた。 司馬さんの作品には長く親しんで来たが清張さんには興味を持ちつつ手付かずできたので今後の足掛かりにしたい。2017/01/11
キミ兄
0
半藤氏の司馬論、清張論。両者の視点の違いを延々と説明。☆☆☆。2011/02/01