内容説明
幻の外務省報告書はあった。報告書の分析と関係者の証言から、中国人強制連行の悲惨な実態を追う。
目次
第1章 見つかった幻の報告書(戦後の闇のなかで;16人の調査員;焼け跡のなかの調査;記録された強制連行)
第2章 中国人強制連行の実態(膨大な資料を読む;足尾銅山を訪ねる~死亡率42.4パーセント;砂川炭鉱を訪ねる~修万海さん撲殺事件;中国、北大過村を訪ねる~鮮明な記憶;白河の泥水を飲む;ある内務省嘱託の勧告)
第3章 終わらない戦後(GHQの方針転換;谷間からの呼び声~元軍人の贖罪;避け続けた責任~国と企業)
感想・レビュー
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かいゆう
29
中学生課題図書『生きる』を読んで、中国人強制連行について詳しく知りたいと思った。38,935人ものうち、6,830人が死亡したという。これは国策であったが、実際に管理し労働させていたのはそれぞれの企業。どうしたらこんなに人が死ぬのか、こんなに失明するのか、報告書の内容と取材から、次々と酷い扱いが出てくる。中国で捕えた捕虜が何に使われたか…戦争だから?やらなきゃ自分たちが殴られるから?人間が人間でなくなる瞬間…日本は何て事をしてるんだ。隠蔽し、責任を取ろうとしない国と企業が信じられない。2016/08/27
凡人太郎
0
~日本政府は太平洋戦争中、四万人近い中国人を強制的に連行し、炭鉱や建設現場など35社、全国135の事業所で働かせた。 多くの中国人労働者は、過酷な労働や劣悪な環境のため、七千人近くの労働者が死亡した。 終戦後の昭和21年、外務省はGHQの調査に備えるため独自に調査を始め、外務省報告書としたが、平成5年にその存在が明らかになるまで、「現存しない」としていた。~ この書では、NHKがその実態を明らかにしていくわけですが、その強制連行や過酷な労働の実態たるや字面ですら恐ろしく、鳥肌がたちました。 2012/10/28