内容説明
古代神話と新プラトン主義の寓意に満ちたボッティチェリの描く甘美で魅惑的なヴィーナスやニンフの世界、写実を極め当時の市民たちの風俗を生き生きと描き出したギルランダイオ、幻想性豊かな世界を描くフィリッピーノ・リッピ、ピエロ・ディ・コジモを紹介する。
目次
1 フィレンツェの盛衰とともに(「新しきアテナイ」の花形画家ボッティチェリ;絶頂期「春」と「ヴィーナスの誕生」)
2 世紀末の華麗と幻想(宗教的風俗画家ギルランダイオ;反ルネサンス的幻想の世界フィリッピーノ・リッピ;ルネサンスの奇人画家ピエロ・ディ・コジモ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
23
このシリーズ全体の一つの山場であるボッティチェリの巻といえる。ボッティチェリの人物は手が大きめに描かれ、指の動きが独特だ。人々(神々)の体勢はこれまで見てきたジョットやマザッチオ、フラ・アンジェリコと比べ明確に動的な方向へと向かい、ぱっちりとした虚ろな目もきっとどこか別のところを彷徨っている。画面全体も線描画的な透明感を持つ。やはり様々な点で漫画的だ。対してギルランダイオの不透明できちんとした装飾性は、裏の主題として描き出されている当時の風俗を表現するのに適しているだろう。2019/02/07
aisu
9
この巻は半分位ボッティチェリです。あとは、ギルランダイオ、フィリピーノ・リッピ、ピエロ・ディ・コジモが紹介されています。ボッティチェリの春などが保存されていた別荘などの当時のヴィラ文化。寓意の神々。都市のシンボル。メディチ家の15世紀。実はこのシリーズの次巻はあの三大巨匠で人気なのか古本の値段も高め…彼らの他の本も持ってるのでもういいかなと買ってないのですが、このシリーズ、巻末の解説や歴史、紀行文、寄稿エッセイも面白いのでそこは読みたいなと迷うところです。2017/03/17