内容説明
中国文明の母なる川、揚子江の“正源”が、中国登山協会の強力な支援のもとで、日本の学術登山隊によって踏破された。青蔵高原を越え、唐古拉(タングラ)山脈の処女峰グラタンドン雪山のさらに奥、もっとも長い源流沱沱河(トトホー)をさかのぼったチャングディシュ大氷河の下に、青白く躍る大奔流をみたのであった。本書は、この地を外国人としてはじめて踏査した日本隊が、不毛の高地の成因・生態や苛烈な自然に生きるチベット牧畜民の生の風景を克明に誌した貴重な記録であり、更にはスリリングなグラタンドン雪山初登頂のドキュメントである。
目次
1章 揚子江源流域をめざして
2章 青蔵高原の自然のなかで(青蔵高原の地学的背景;1億5000万年前のテチス海;揚子江源流域の植物;揚子江源流域の動物;揚子江源流域の魚)
3章 極限に生きる民族(揚子江源流域のチベット牧畜民;高地の生活と健康―高所適応と医療状況)
4章 各拉丹冬雪山登頂記
5章 青蔵高原縦断記