内容説明
柳田国男は、その晩年に、稲作文化の伝播のルートとして「海上の道」を提起した。南中国を起点とする海上の道を稲作を携えた我々の祖先がたどり、日本列島に到達したとする仮説である。著者はこの柳田とは異なる視点として「南島農耕論」を提起する。『稲作以前』以来、日本人とそのアイデンティティの基礎にある伝統文化の形成を追究してきた著者による日本文化の道をたどる研究の集大成である。
目次
第1章 南島文化史研究の軌跡―『海上の道』とそれ以後(「海上の道」の意義を考える;南島考古学の諸成果 ほか)
第2章 南島の伝統的畑作農耕文化とその特色(南島系根栽農耕文化と“根栽=雑穀型”文化の流れ―バタン島と台湾山地の農耕;沖縄における伝統的畑作農耕―イモとアワの冬作体系 ほか)
第3章 南西諸島の伝統的稲作農耕技術(南西諸島の中世的稲作技術とその地域構造―十五世紀を中心に;近世的稲作技術体系の特色 ほか)
第4章 オーストロネシア型稲作とその展開―南島農耕文化の基礎を形成したもの(南島における冬作農耕システムの発見と在来稲の系譜;オーストロネシア型稲作の特色 ほか)
第5章 新・海上の道と南島農耕文化―「南からの日本文化」を生み出したもの(「新・海上の道」を考える;南島農耕文化へのアプローチ ほか)
著者等紹介
佐々木高明[ササキコウメイ]
1929年、大阪府に生まれる。1959年、京都大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。立命館大学助教授、奈良女子大学教授、国立民族学博物館教授、国立民族学博物館長を経て1997年より国立民族学博物館名誉教授。アイヌ文化振興・研究推進機構理事長(2003年3月まで)。専攻は民族学
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