NHKブックス<br> 免疫・「自己」と「非自己」の科学

NHKブックス
免疫・「自己」と「非自己」の科学

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  • サイズ B6判/ページ数 219p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140019122
  • NDC分類 491.8
  • Cコード C1340

内容説明

我々を、伝染病などの病から守る「免疫」。免疫は、「自己」と「自己ならざるもの=非自己」を識別し、身体の「自己」を監視・維持する機構であるが、アレルギーや自己免疫疾患、がん、エイズなどからは、「自己」と「非自己」の交差する、免疫のもう一つの顔が見えてくる。免疫学の基本を分かりやすく解説しながら、高次生命機構としてのヒトを理解するための超システムとしての免疫系の働きにまで着目する。免疫学の大家による、はじめての免疫学の入門書。

目次

第1章 脳の「自己」と身体の「自己」
第2章 伝染病と人間
第3章 免疫という劇場
第4章 免疫の「知」
第5章 私は誰?私のバーコード―組織適合抗原と免疫
第6章 免疫の内部世界―胸腺とT細胞
第7章 多様性の起源
第8章 自己の体制の成り立ち
第9章 拒否の病理としてのアレルギー
第10章 自己免疫の恐怖
第11章 あいまいな「自己」―移植、がん、妊娠、消化管
第12章 免疫の広がり―超システム

著者等紹介

多田富雄[タダトミオ]
1934年、茨城県結城市生まれ。千葉大学医学部卒。免疫学者。千葉大学教授、東京大学教授、東京理科大学生命科学研究所所長を歴任、現在は東京大学名誉教授。71年免疫応答を調整するサプレッサー(抑制)T細胞を発見、野口英世記念医学賞、エミール・フォン・ベーリング賞、朝日賞など内外の多数の賞を受けた。84年文化功労者。89年より英文国際誌「インターナショナル・イムノロジー」を発刊。95~98年国際免疫学会連合会長。能楽にも造詣が深く、脳死と心臓移植を扱った「無明の井」朝鮮人強制連行の悲劇を描いた「望恨歌」などの新作能の作者としても知られる。自らも大倉流小鼓を打つ。著書には、専門書の他に、『免疫の意味論』(青土社、第20回大仏次郎賞)『独酌余滴』(朝日新聞社、第48回日本エッセイストクラブ賞)、『生命の意味論』(新潮社)、『イタリアの旅から』(誠信書房)、『ビルマの鳥の木』(新潮文庫)など多数
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とろこ

41
自分が自己免疫疾患を抱えていることから、だいぶ前に読んだ本。当時は難しかったが、今回はある程度理解できた。免疫機構は、本来、「自己」を守り「非自己」を排除するもの。しかし、一方では、「自己」であるはずの自分自身を攻撃する。それが「自己免疫疾患」。また、生まれた子供は免疫機構にとっては「非自己」で攻撃対象となるのに、「胎児」は「非自己」と認識されない為、母体にとどまれる。「自分とは何か?」という哲学的なテーマを、免疫学の方面からアプローチした本。医学的な面からも、哲学的な意味からも、実に興味深い1冊だった。2017/03/26

紙狸

10
2001年刊行。多田富雄については、ずっと前に『免疫の意味論』を読んで難解だという印象が残っていたが、この本はもともとNHKの番組が基らしく一般向けだ。最近、ワクチン関連の記事に出てくる「T細胞」とはThymus(胸腺)で作られるから「T」で、「B細胞」の「B」はBone marrow(骨髄)からきている。特に印象的なのは「私は誰?私のバーコード」の章。すべての細胞の表面には、自分であることを示す旗印がついているという。2021/07/08

iwri

3
図も多く免疫システムがどう働くかについてとてもわかりやすい。未解説の用語がちょこちょこ出てくるが、後の章で詳細に説明されるので気にせず読み進められる。ただし、現在疑問視されている(らしい)サプレッサーT細胞があたかも周知された事実であるかのように語られている点は気をつけた方がよいと思う。また、免疫システムの自己/非自己の区別の仕方はシステムの振る舞いとしてとても興味深い。ただ、超システムのような概念はメタファー的で、システム論的に一般性が低く、免疫モデルで理論を構想する必然性はないように思う。2012/01/27

ヨンデル

2
昔読んだ本です、整理のため登録しています。2024/06/14

おたきたお

1
1998年にNHK教育テレビ「人間大学」のテキストを改訂されたものらしい。主題の通り、免疫の世界を通じての「自己」と「非自己」を識別する仕組みを2000年の時点で解明されている範囲で記述。複雑系である免疫の世界が、実は神経細胞など他の細胞の世界でも同じような動きをすることを指摘。これを著者は「超(スーパー)システム」と名づけ、都市や国家といったマクロな世界で応用できるのではないかと指摘している。哲学的に免疫システムについて従来から興味を持っていたので、「よい拾い物をした」感じ。2006/01/01

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