目次
第1部 川瀬巴水―新版画の立役者(巴水の東京;旅情詩人巴水)
第2部 新しい版画を求めて(渡邊庄三郎の挑戦;新版画を制作した日本人画家;新版画を制作した外国人画家)
著者等紹介
滝沢恭司[タキザワキョウジ]
長野県生まれ。日本大学芸術学部芸術研究所修了。立教大学学校・社会教育講座学芸員課程修了。1987年、町田市立国際版画美術館学芸員。現在、担当課長兼学芸係長。マヴォを中心としたアヴァンギャルドと近代日本版画史を中心とした研究に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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booklight
30
江戸の浮世絵版画の技法に大正昭和の近代美が加わったものが新版画。その立役者の一人が川瀬巴水。海外輸出用として発展したが、やがて国内でも人気に。浮世絵らしく美人画や人物画もあるがやはり風景がいいな。巴水のそういった背景も踏まえると、外人向けのお土産を見るようなジャポネスクと懐かしい風景と近代美が、微妙にまじりあっているがまだ混合されていないような様子も面白い。巴水が写生旅行を重ねて風景を描いていたことも知ることができて新鮮だった。エリザベス・キースやノエル・ヌエットなどの外人が描いた新版画もよかった。2021/09/19
yyrn
22
何度見ても素晴らしいと思っていた川瀬巴水の版画だったが、絵ハガキ以下に縮小され、1ページに数枚の絵を載せる本書の構成ではその良さが十分に伝わってこなかった。同時に『巴水の日本憧憬』という中型本を読んでいるが、そちらでは従来どおりの良さを味わえるので、やはりある程度のサイズ感がないと絵の持つ味わいが伝わってこないものだなということがよく分かった。初見の絵であればそれほどの違和感は感じなかったのかもしれないが、何度も見ている絵には特に物足りなさを感じた。その分、解説は充実していますが、でも肝心なのは絵でしょ。2021/08/07
conyTM3
8
浮世絵版画の伝統と近代的技法・画題が融合した大正・昭和の「新版画」。 一見浮世絵のようであるが、電柱が立っていたり、夜景のネオンが描かれていたりと近代的な風景であるところが面白い。 巴水以外にも沢山の画家の新版画が紹介されており、昭和に入るとまるでポスターのような仕上がりのモダンな作品も。 外国人画家も多数制作している。 川瀬巴水は雪景色がいいですね。2021/07/27
遠い日
8
川瀬巴水はもちろんのこと、新版画の一派をまとめて見られるのが嬉しい。近代化の波に洗われゆく風景の一方で、鄙びた地方の風景にも美人画にも、新しい時代を創るべく精進する画家たちの気概を感じる。見たことのない風景の中にどうしても感じてしまうノスタルジー。どっぷり浸ってうっとりと心を遊ばせました。2021/07/25
へへろ~本舗
6
川瀬巴水(1883~1957)新版画の立役者と記載あり。雨・雪・ぼんやりとした灯火・月明かりなどの風景画が素晴らしい。もっと巴水の版画を見たかったが、新版画の章の方が多くて、物足りず。作品集も出版されているのでそちらを楽しみにします。2021/12/02