内容説明
オースティン『高慢と偏見』×スタンダール『赤と黒』、ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』×フローベール『ボヴァリー夫人』、ナイポール『ある放浪者の半生』『魔法の種』×ウエルベック『素粒子』…イギリス小説とフランス小説が理屈抜きにどれだけ面白いか?19~20世紀の古典的作品でこれぞというものをぶつけあい、読み比べてみたらどうだろう?文学者・翻訳家として活躍するふたりが12の名作を読解し、その魅力を語り尽くす。読むことの生き生きとした愉しさを伝える文学対談。
目次
プロローグ いま、英仏文学を読む
1 十九世紀の精神的な革命
2 英仏社会に対する挑戦
3 十九世紀文学の成熟
4 二十世紀モダニズムの登場
5 第二次世界大戦の痕跡
6 現代にゆらぐ国民文学
エピローグ 文学の行方
著者等紹介
斎藤兆史[サイトウヨシフミ]
1958年生れ。東京大学大学院総合文化研究科教授。英学
野崎歓[ノザキカン]
1959年生れ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。フランス文学、映画論。著書に『ジャン・ルノワール越境する映画』(青土社、サントリー学芸賞)、『赤ちゃん教育』(講談社文庫、講談社エッセイ賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
40
英文学・仏文学の研究者翻訳家である二人が、それぞれの歴史的なおすすめ小説を一作ずつプレゼンテーションして対決させていく対談。フランクな語り口で名作の面白さを紹介する。お互いに非専門の小説を素朴に論評し相手の専門家の見方を教えあうのが面白い。英国文学について苦手なところがあるのでためになった。個人的にすこし不満を感じている。このコンビの前対談『英語のたくらみ、フランス語のたわむれ 』のできがよく期待しすぎたせいだ。英米文学入門にはおすすめの良い本なのは確かなのだが。2015/08/14
花乃雪音
15
斎藤教授が選んだイギリス文学と野崎准教授が選んだフランス文学、どちらが面白いかで対戦する。しかし、当然のように優劣をつけるわけがなく比較することで互いのよさを引き出そうとしている。対戦する作品は時系列順でかつ対戦する作品同士の時代をできるだけ近くにしている。そのことで文学史の流れをわかりやすくしようという意図はわかるが本書で19~20世紀のイギリスとフランスの文学史を把握するのは難しいように思えた。2020/02/07
きりぱい
10
19世紀イギリス文学の豊作さでこっちの勝ちね!と思いきや、フランスもさるもの好敵手が続々!オースティンとスコットで好き嫌いが分かれるらしい通念には、両方好きなので、そういうもんなの?と。『赤と黒』で女性の好みが分かれたり、ディケンズがゴリオ爺さんを書いたらだとか、内容を越えた話も面白い。研究者の切り口を見せながら、訊ねられると、それは知らないなあ、なんて面子を投げたゆるさも。発売前の目次で目が輝いていた身としては、好きの熱さが物足りなかったけれど、興味ある作品群はうれしく、新たに教えられるところもあり。2010/09/18
viola
9
英文学と仏文学で有名な東大教授二人が19~20世紀の英仏古典文学を読んで対談します。英語読めるのに、どうも翻訳を読んでしまうという野崎さんに好感度大(笑) こういった文学対談ものは大好きなのだけれど、「戦記」ではないかなぁ。もっと言い争ってくれたらより面白くなったのにー。って、ムリですね。2010/09/08
ラウリスタ~
7
駒場駒場うるさいな、と思ってたら東京大学出版会か、しゃあない。文学についてこんなに語れるってことに素直に感嘆する。面白い本を読んでも、その面白さを口で表現することが出来ないことばかりだから、ちょっとは見習いたい。フランス文学の方、説明できてない。「凄い」ってことしか言ってない。イギリスは体系的に説明されてて読みたくなる。そもそもナジャとか説明できないし。フランスは有名どころばかりだから全部読んでるけど、イギリスは半分くらいしか読んでない。フォースター読もう。2012/08/29